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宅配のニワさん①

オミとの定例会を終えて早一週間が経とうとしていた。 あの日散々オミに早くまともになれと言われた俺は今日も変わらずニートを謳歌している。 好きな時間に起きて好きなものを食べ、好きな時にゲームをしたり漫画を読んだりしてまた好きな時に昼寝をする。 ぶっちゃけ最高でしかない。なんだよこの生活、抜け出せるわけなくね? オミが聞いたらめちゃくちゃ呆れたような顔をされるんだろうなと思うとそう事細かにニートの一日を話す気にもならないけれど。 というかニートの生活なんて話す内容なんてほぼ無い程うっすい一日なのだけれども。 そうだな、例えば昨晩発売のゲームももうすぐクリアできそうだとか、いい加減デリバリーも飽きてきただとか、今のブームは超サイコスリラー小説を一日で読破することだとか。 そういう、20代の貴重な時間をものすごい勢いで無駄にしているこの感覚がまた、たまらないのである。 大きなテレビ画面に流れるバラエティ番組をなんとなく聞き流しながら、濡れた髪をバスタオルで拭く。 現在時刻は17時半、ゲームに時間を食われて気がつけばこんな時間になっていたのだ。 ちなみにもう20時間は起きっぱなしである。 それもこれも全部昨晩発売のゲームのせいなのだが、これこそオミにバレたらただ事ではなくなってしまう。 そろそろ腹も減ってきた頃だし適当にデリバリーでも頼もうか、そう考えていた時だった。 不意に部屋にインターフォンの音が鳴る。濡れた髪の毛をそのままにインターフォンの画面に映し出された馴染みの顔に繋いだ。 「はい」 『こんにちは、赤印運輸です!お届けものです!』 「はーい、どうぞ」 画面いっぱいに宅配のお兄さんの笑顔が映し出される。 今日も元気いっぱいだなぁと感心しながら、エントランスのドアロックの解除ボタンを押した。 赤印運輸には日頃から世話になっている、週に一回は必ず利用しているので常連クソニートと影で呼ばれてやしないか不安に思うが、まあほぼ確実に思われてはいるだろう。 暗転したインターフォンの画面。 とりあえずこんな格好のまま出るわけにも行かないし来るまでに服着て髪乾かさないとだな。 洗面所へ向かいながら、椅子の上に適当にかけておいたスウェットを手に取って袖を通した。 エントランスからこの部屋まで来るのには階数があるためもうしばらくかかるだろう。 今回の荷物はなんだろうか。日用品は先週まとめて届いたし食料品も注文はしていない。 となると実家から何か贈り物か、仕送りか。 何か飯とかだったらいいな、デリバリー頼まなくてすむし。 そんなことをドライヤーに吹かれながらぼんやりと考えた。

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