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丹羽圭祐とは④

*** 「こんばんはー!お荷物お届けに……えっ、か、烏丸さん?!えっ、ちょっ、な…!」 「す、すみません!違うんです!いや何が違うんだって話なんですけど!!風呂で足つっちゃって、全然治んなくって…!丹羽さんの配達、時間指定したのチャイム鳴ってから思い出して、とりあえずって思って…」 玄関の扉を開け、俺の姿を見るなり目を剥き顔を真っ赤にさせる丹羽さんに大変申し訳なく思う。 玄関の前を水浸しにして、全裸(一応腰にタオルは巻いてる!!)で片足を壁にかける俺は滑稽そのものだろう。ってか丹羽さんからしたら女性の裸ならまだしも男の全裸だなんて勘弁願いたい絵面そのものだろうに、時間指定をしていたからといって無理して出るんじゃなかったと今更ながら後悔する。 とにかく、何よりも早く足治らないかなぁ?!半べそをかきながら終わりの見えない痛みと羞恥に頭がおかしくなってしまいそうで、俺はただ応急処置として掲げた足のつま先を手前に引っ張ることしか出来なかった。 「え、えっと、その!どうしましょう、救急車…?!」 「呼ばなくて大丈夫です!!!」 「すっ、すみません!!えっと、こむら返り、こむら返りは、…ああっ!水ですよね!!水分摂らないと!あと横になった方が楽になりますから、俺に気にしないで横になってください!」 「す、すみませ……、!」 「あっ肩!貸します!!」 わちゃわちゃしてる。 非常にわちゃわちゃしている。 顔を真っ赤にさせながらも俺の腕を肩に回して支えてくれる丹羽さんに大変申し訳なく思いながらも体重をかけさせてもらう。 体を拭くこともなく風呂からそのまま出てきたからもう廊下も丹羽さんもなにもかもがびちゃびちゃだ、本当なにやってるんだか俺は。 あっちです、とリビングの隣の寝室を指差してそこまで連れて行ってもらう。ちなみにこの間もつった足が治る気配は全くない。 丹羽さんの肩を借り、足を持ち上げたまま片足でぴょこ、ぴょこ、とジャンプをして寝室へ向かっていく。暗い部屋、その真ん中にあるダブルサイズのベッドに丹羽さんに支えられながらもゆっくり腰掛けるとそのまま寝転んで足を宙に持ち上げた。 「あああーーくっそ、いつ治るんだよ!!」 「えっと、ちょっと待っててくださいね!」 大慌てで部屋を出て行く丹羽さんに返事を返す余裕などない。剥がれてしまうのではないかというほどの激痛に顔を歪めて必死につま先を引っ張る。 今まで足をつることはままあったけれども、ここまで長引くのは初めてかもしれない。 俺、死ぬの?全裸で?丹羽さんに看取られながら?ニートのくせに?…いや、死んでられない! べそをかきながらそう意気込んですぐ、丹羽さんがコップを片手に部屋に戻ってきた。 「お水です、飲んで!」 小さく何度も頷いて丹羽さんが支えるコップをそのまま口につけて、中の水を飲んでいく。うまく飲めなくて口の端からこぼしたりしてしまったが、大丈夫、少しは飲めた。 風呂上がりと痛みのおかげで火照った体を水分が潤し冷ましていく。 水分をとるってこむら返りの処置じゃなくて予防の方だった気がするけど、でもなんだか気分が落ち着いてきたおかげか足の方も痛みが和らいできた。気がする。 コップを片手にベッドに膝をつき、心配そうにこちらを伺う丹羽さんに、疲れ切った笑みを浮かべて礼を述べた。 「すみません、ちょっと、落ち着いてきたみたいです」 「っ、はぁ……よかった……俺、本当どうしようかと思って、…っ、」 「本当助かりました……あ、制服濡れちゃいましたね……時間大丈夫でしたら干して行ってください、脱げます?……丹羽さん?」

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