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第7話
「球技…大会?」
「あれー、もうそんな時期かぁ」
学級委員の草野が欠伸をした星野の机に打ち付けるように頭を下げる。
「星野!!お願いだからさ!クラスの為を思うなら今年はバスケで出てよ!!」
「えー、またその話ー?ずっと断ってきたじゃん。汗かくしやだ!」
「星野バスケ得意なんだっけ?バスケ部なのは知ってたけど幽霊部員だよな?」
必死な程に星野を説得しようとする草野に首を傾げる。すると顔をずいっと近づけて草野が力説し始めた。
「得意なんてもんじゃないよ!才能!これ才能だよ!せっかくバスケ部にもはいってるのに幽霊部員で大会にも出ないし、ほんと勿体ない!」
「へぇー。すげえじゃん。こんなに頼まれてるし、やればいいのに」
「だってー…匠は何出るの?」
草野の話に感心して、勧めてやると星野は甘えたような声を出して俺の出場種目を聞いてくる。
「ドッジボールじゃないか?逃げるの得意だし」
「えー、あれスポーツ苦手な人枠じゃなかったのー?匠が出るなら俺もドッジ出るー!」
「えっ、バスケは!?バスケにしてよ!」
「もーう、しつこいなー!匠と一緒じゃなきゃやだ!」
「は!?え、ちょっと俺を巻き込むなよ!!」
腕に絡みついてきた星野の腕を押しくって引き離そうとするが、全然だめだ。
しつこく絡みついて離れない。
「いーやーだー!匠と一緒!」
「…紀田…」
何かを決心したかのような草野の表情に身震いがする。
まさか。
「お願いだから、バスケの枠に入ってくれない?お願いだよ、紀田!」
「えー!?俺が!?いくら星野がメンバーになっても俺が入ったら足でまといだろ?こんな身長低いし」
「いやいや、授業でバスケやった時だって、すごい上手だったよ!たしかにゴールは入れないかもしれないけど、パスとか上手で受け渡し上手いし!うんうん!星野が入って紀田も入るなんてうちのクラス最強じゃない!?」
なんだか勝手に盛り上がっている草野だが、別に俺もバスケが嫌なわけじゃない。スポーツは基本、なんでも得意だ。
でも…
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