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第9話

「匠!これインスタに載せてもいいか?」 「インスタ?」 「そう。写真載せるSNS」 「あー…いいけど。そんなのあるんだな」 今日は2人で映画を観る予定で、夕方の映画の席は予約してある。 お互い趣味が合うのか、観たいものが同じだったために一緒に行くことになった。 趣味が合うことも少し前までは知らなかった。 今は星野が来たかったという落ち着いた雰囲気のカフェで昼食をとっている。 「最近流行ってるぞー。って言っても匠はやんないだろうけど…」 「おー。連絡取れれば十分だし」 「そもそもお前スマホじゃないしなぁ…」 星野が俺とのツーショットを投稿するためか、スマートフォンを指先でいじる。 少しぎこちない表情の俺とチャラ男満載のピースをした星野の間には女子が好きそうなフルーツとケーキの乗ったプレート。 「スマホか…」 「まぁ匠にはTwitterとかやんなんで欲しいしな」 「は?何でだよ」 「お前純粋だからSNSとか大変だろ」 「純粋?」 そんなこと初めて言われた。 確かに学生同士のSNSでの問題もよくあるみたいだし、そんな面倒なことはしたくない。 でもLINEだけはパソコンでやっていた。 だから学年のグループで文化祭の話し合いにも置いていかれたりしないし、今まで困ったことは無い。 星野がそういうならやらない方が賢明だろう。 「匠ー?早く食おうぜ」 「あ、おう」 「うひゃー、うまそー!」 スイーツ用の小さなスプーンを手に取ると星野は目を輝かせた。

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