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第15話

「美味い?」 「…うまい…」 「そっか」 俺のオムライスというリクエストから、近くの洋食屋さんに入る。 結局店に入ったら俺はグラタンが食べたくなってしまって、グラタンを注文した。 星野は俺が食べたかったオムライスを注文し、今2人で食べている。 「…何?」 「い、いや別に!」 「もしかしてちょっと食べたくなっちゃったー?」 「そういうんじゃねーし!」 「いいよ、1口あげるから匠もグラタンひとくち!」 今まで彼氏と食事に来て「シェアしよー」なんて言っている彼女をよく見てきた。女子はすぐシェアしたがる。 あんまり見ていて羨ましいともなんとも思わず、むしろ悪寒がしたものだが、いざ星野と食事をしているといつも星野の食べているものの方が美味しそうに見えてしまって仕方ない。 こいつが美味しそうに食べるのがいけない。 「はい、あーん」 「それ恥ずかしい」 「別に誰も見てないし」 確かに5時ということもあって客足はまばらで周りの席に座っている客はいなかった。 そうは言っても恥ずかしいものは恥ずかしい。 「いいから。ほら、あーん」 「…」 「グラタンちょうだい」 強引に俺の口にオムライスを突っ込む。 お店イチオシということもあって、すごく美味しい。定番ともいえるデミグラスソースの旨みが口いっぱいに広がる。 …オムライスにしておけば良かったかもしれない。 優しくマカロニと少し焦げたチーズとホワイトクリームをスプーンですくい、星野の口元へ持っていく。 「食べちゃうぞー!」 「早く食え」 「ぱく!…あー!やっぱグラタンうまいー!グラタンにしとくべきだったか…」 俺がグイグイと引っ張るまでスプーンを咥えたままの星野はグラタンの味を気に入ってしまったようだ。 そして俺もオムライスを注文しなかったことを後悔している。 ウィンウィンの関係だ。 「じゃ、じゃあ…交換するか?もうこんなに食べてるけど…」 「え!?いいの!?ヨッシャー!いや俺も同じくらい食ってるから全然!むしろ匠の食べかけありがとうって感じー!…痛い!!」 俺に平手打ちされた部分を星野が抑えている間に素早く皿を交換した。

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