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第20話
「匠!」
星野は試合中に流れ出た汗もそのままに俺の元へやって来た。
太陽に汗が輝いてキラキラしていて、普段より一層男らしく見える。周りの女子も騒いでいた。
「星野。…ちゃんと汗拭けよ」
俺は自分が使っていた青いタオルを投げやった。他のやつだったら俺の汗の匂いのタオルなんて嫌がるかもしれないが、星野なら嫌がらずそのまま拭くという自信があった。
「…」
「何匂い嗅いでんだ。臭いだろ!」
「…いい匂いする」
「やめろ気持ち悪い」
バサッと切り捨ててやると少しの間返事が来なかった。
体育の前まで喧嘩していたというのに、俺は星野のことを考えずに言い返してしまった。
やってしまった…と星野の顔色を伺った。
「…なんで流星くんにはニコニコ愛想振りまいて俺にはそんな冷たいわけ?」
「は?それこそ逆だろ」
「…逆…?」
「なんで今更幼なじみに愛想振りまいてやる必要がある?」
星野は納得していない様子だった。
でもなんと言われても流星に愛想なんて振りまいて無いし、生まれた頃から一緒にいて、全て知られているのに今更ニコニコしてやったってアイツはなんとも思わないだろう。
「…じゃあ愛想振りまいて無いなら、なんであんな楽しそうに笑ってるの」
「それは楽しいからじゃないか?別に俺が得点入れられたわけじゃないけど、久々にバスケやるっていうのも楽しかったし」
「最近匠と一緒に居る俺もあんなニコニコしてるの見たことないよ」
なんで俺が浮気疑惑のある彼女のように言い訳がましいことを言わされているんだろう。
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