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第21話
「ふふーん♪そういうことねー」
「笹川?」
語尾に音符でも付けているように言うと、後ろから回り込んできたのは例のイケメン女子笹川だった。
「つまりさっきおこだったのも、星野は流星くんに嫉妬してたんだ」
「は、はぁ!?」
最近穏やか過ぎるような星野の表情ばかり見ていたからか、少し前のキレやすくうるさかった頃の星野の表情に新鮮味を感じて、笑ってしまいそうになった。
犬みたいな笑顔ばかり見せていたくせに、今更そんな怒った顔をしたって威力半減だ。
「だってそういうことでしょう?星野は紀田が好き。けど紀田は流星くんといちゃいちゃしてるからヤキモチ妬いちゃったんでしょ?」
「いちゃいちゃなんてしてねぇ!!」
「紀田は黙っててよ」
「…」
聞き捨てならない。さっきから二人揃って俺と流星がまるでそういう仲みたいな言い草。
流星にはちゃんとかわいい彼女だっていて、俺とはただの幼なじみだ。
…って、それ以前にあいつも俺も男だっつーの!
「星野、紀田といつまでも同じ関係でいられると思っちゃだめだ」
「けど、…」
「私、これ以上いたら邪魔だからあっち行くけど、星野、ほんとに大切に思ってるなら大切にしてあげなよ。紀田はさ、部活の時からたくさん助けてくれてた私の戦友だから」
「えっ」
「えって何」
「いや別に!」
俺を目の前に何やら笹川と星野が意味深な会話をしている。
というか、笹川。俺のこと、ちゃんと友達だと思っててくれていたんだな。
泣きそうな星野の表情に胸がキュッとした。
「じゃあ星野!健闘を祈る!」
拳を胸に叩きつけ、星野が「おえっ」と吐き気を催しているとは知らず、いい笑顔綺麗なフォームで走り去る笹川。
なんだかんだあいつも問題児だ。
「…たくみ…ぃ…」
「大丈夫か?吐く用のバケツ持ってくるか?」
俺の問いかけに胸を抑え、下を向いたままフルフルと星野は首を振った。
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