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第24話

こうして俺たちは付き合い始めたわけだが、毎日一緒に居たし、今更何が変わるってこともない。 だが腐男子の勘というヤツで、桜田には気づかれてしまったけれど。 2人を纏う空気が甘々になってナントカで…とか言っていたけど、俺としては特に変わってないと思う。 強いて言うなら、俺が星野のことを『彩』と呼び始めたことくらいだ。 星野の下の名前は『彩人』だが、呼びづらいから俺は『彩』と呼んでいる。 星野も不意に飛び出る『彩人』がキュンキュンして死にそう。と喜んでいたし、そう呼び始めたわけだ。 「匠!ごめん!」 「いいけど、それよりも彩がちゃんと追試受かったのかが心配」 「多分受かったかなぁ…。匠に言われなかったらばっくれようと思ってたー」 「ほんとお前…そもそも朝ちゃんとテスト受けておけば放課後呼び出されなくて済んでたのに」 「だって朝腹痛かったからトイレ行ってて、戻ってきたら小テスト終わってるんだもん」 清々しいほどに言い訳をしない。そんな笑顔で言われたら「はいそうですか」と会話を終わらせてしまいそうだ。 なんだかんだ言いつつも、この進学校で難なく進級出来ているし大学受験だってする予定だろう。 彩は私立文系クラスで俺は国立理系クラスだからほとんど授業が被らない。 体育と英語だけは同じクラスになれたが、休み時間一緒に居るにしても物足りなく感じる。 これから本格的な受験モードになった時、俺達は世のカップルと同じく別れてしまうのか。それとも辛い時そばにいる存在でいられるのか。 「匠?どしたん?」 「彩は明日の土曜の補習授業来るよな?」 「明日…あー俺日本史と古典だ…うげー。さすがに日本史出ないのはキツイな」 毎週のように『土曜日サボるわー』とか言っているが、結局こいつがサボっているのを見たことがないのが現実である。やはり根は真面目なのだ。 「匠は?」 「俺は化学と数学」 「うっわ。俺受験に必要ないから教科書捨てたし。もう問題読んでも意味わかんねぇんだろうなぁ」 「それでさ…」 「ん?」 「明日…泊まりにくるか?」 さり気なく伝えたつもりだったが、声が震え、 時が止まった。

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