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第26話
突然の流星の大声にびっくりした。
「流星?」
ハッとしたように現実に帰ってきた流星は口をモゴモゴさせて言い訳がましく何かを言い始めた。
「キモいなんて思うはずがない…だって俺もっ…」
「俺も…?」
流星の怪しい発言に彩が俺の肩を抱いて身を乗り出す。
「まさか俺もずっと匠のこと好きだったんだー。とか言い出したら殺す」
「ちがっ、そうじゃなくて…」
「…あれっ?流星?」
しょんぼりしている流星に詰め寄る彩はまるで青少年にカツアゲしようとしているヤンキーだ。
そこに委員長の草野がやってきた。
「先に帰ってよかったのに、流星。って…紀田と星野じゃん。…え?何これ」
「夏樹 …」
「夏樹!?流星くんって委員長のこと夏樹って呼んでんの!?」
驚いている彩だが、俺はそれ以前に草野の下の名前が『夏樹』であることを初めて知った。
「だから、俺がお前らのことキモいとか思うわけねぇの!俺も夏樹と付き合ってるから!」
「えっ、ちょっと流星!?何これ何!?何事!?」
グイッと草野の肩を引き寄せ、ドヤ顔で言い放つ流星。慌てて眼鏡の位置を直す草野は心無しか顔が赤い。
「へー。なら安心だ。匠かわいいから流星くんに狙われてるのかと思ってた…」
「可愛くない!」
「ほらかわいい」
「ちょっと待て。なんで流星暴露してんの!?」
草野は心の準備も出来ないままに流星に付き合いを堂々と発表されてしまったからか、赤かった顔も青白くなっている。
「大丈夫だよ。俺も匠も誰にも言わないし。むしろ疑っちゃってごめんねー」
「いや…うん…。俺も盗み聞きとかしてごめん」
「あーやっぱり?あんなわかりやすく俺達の会話聞いてるのに匠ったら全然気づかないんだもん」
「ぬっ、盗み聞き!?」
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