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第27話
「流星何盗み聞きとかしてんだよ!お前のキャラじゃねぇだろ!」
「そ、れは…」
珍しく小声で喋る。さっきから、幼なじみの俺でも見たことがないような表情ばかり見せてくる。あんな慌てて大声を出す流星も、しょんぼりと俯く流星も、かれこれ15年一緒に居た俺でも知らない。
「お前達の話し、勝手に聞くつもりは無かったんだ。ただ……っちとか」
「え?ごめん聞こえない流星」
「だっだから、お前らがもう男同士のえっちとか経験してるなら聞きたいなって」
「…んなっ」
流星が赤くなるのはもっともだが、こちらまで恥ずかしくなるほどに純情を見せつけてくる。流星は小学校に上がった頃から整った顔で女の子からは人気の的だった。たくさんの子に告白されて、中学の時に女の子と付き合っていたのも知っている。
それこそ、俺は童貞だし、そもそも彩は初めての恋人だし。流星の方が恋愛のアレコレを知っていると思っていたが…草野を今までの女の子達以上に特別なほどに愛情をかけているのか、はたまた男相手にどうしたらいいのか分からないのかもしれない。
「……」
「理由はわかったよー。ごめんね、何から何まで疑っちゃって。でも俺たち、セックス以前にキスもまだだからさー」
「せっ…いや…その…」
「なんなら俺が教えてやるよー。あっ、4Pする?」
「ハァ!?」
「ジョーダン冗談よ、匠ちゃーん。ちょっと冗談だって!殴んないで痛い痛い」
どうせ痛くも痒くもないだろうが、抵抗の意思を表明して彩の腹にグーで殴りこんだ。腹筋にうっすら綺麗なシックスパックが出来ているこいつにグーだろうがパーだろうが関係無い。
「でもほんとにやり方教えるくらいはするよ。匠が良ければこのまま匠の家泊まっちゃおうよ」
「やだよ。明日の補習遅刻する。別に泊まってもいいから。明日にしろ」
「んーじゃあやっぱり明日かなあ」
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