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第29話
あんなにあっさりと承諾してしまったけど、内心凄く怖い。普通の男性がする行為じゃないんだから。…ってもう俺が受け入れる側だって勝手に判断してるけど。
あれ?もしかして俺が挿れる方?
客観的に見れば俺の方が男らしいしなぁ。
「…じゃあ問いの4、紀田くん」
「あ、えーっと…2√3」
「よーし。いいぞぉ」
隣のクラスで文系は日本史をやっているのだろう。熱血先生の黒板を叩く音がした。
こちらはこちらで数学の先生がのんびりとチョークを黒板に走らせている。
俺は、早く終わればいいという気持ちと、その瞬間を迎えてしまう恐怖で綯 い交 ぜになっていた。
「そのまま次も行っちゃおうか、紀田くん」
「その次が2分の3πです」
「よしよしよーし!」
はぁ。起きてないことを悩んだって時間の無駄だ。
今は数学に集中しよう。
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