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第30話
「だーかーら!違うっつーの!」
やっと補習が終わった。
はやる気持ちを抑えて隣の教室へ彩を迎えに行く。
扉を開けようと手をかけたら、他にもいろんなやつの話し声は聞こえるのに、彩の声ばかり耳に響いた。
誰かに怒っているようだ。
「マジで言ってる?」
「まじもマジ!本気と書いてマジと読む!」
「まぁ…そう、だよな…。女の子大好きマンだもんな~星野。変なこと聞いて悪かったな」
「変なこと聞いた自覚あるなら、聞くな」
「俺らも星野がつるんでくれなくなって、寂しいんだよ」
「きんも!俺帰るから!」
「えーゲーセン行かねえの?」
「ばっか!お前らも受験生だろ!」
-…『女の子大好き』。
たしかに一昔前の彩は隙あらば女子を空き教室に連れ込み色々しているという噂が絶えなかった。
俺も『ヤリチン』『うるさい』『チャラい』『関わりたくない』やつとしてシャットダウンしていたはずだった。
「えっ、匠!?」
急に扉が開いて、出てきたのは彩だった。
「うわもう!ビビらせんなー!早く帰ろう、匠。2人は飯食ったあと、家に来るって。流星くんが言ってたから。俺たち先に行ってよう?…匠…?え、…泣いて…?」
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