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第32話

「あっもう!遅いよたく!」 「えっ、流星達、もう来てたの…」 俺と母親の2人で住んでいるマンションのエントランスのベンチに流星と草野が制服のまま座っていた。 セキュリティ万全のこのマンションにはカードキーを持っている、もしくは中の住人の許可がなければ入り口を通ることすら出来ない。 俺の住む23階の一つ下の階に流星の家があるので、2人はエントランスに入れたのだろう。ここで待っていてくれたのも、2人が来ていることに気づかなかった、ということを防ぐ意味もあったようだ。 「ほら、早く行こう。どれだけ2人で学校でいちゃついてたんだか…って…たくの目…」 「あ、紀田目腫れてるよ?」 「あーこれはその」 「いいよ2人は気にしないで。早く入ろー!!」 俺の肩に手を置きぐいっと顔を近づけてきた流星を彩が引き離す。 「お、おう。流星と草野は飯食ってきたのか?」 「あーさっき材料とか色々買ってきたから。ちょっと夏樹に台所使わせて貰える?お前らの分もあるからさ」 「いいよ。助かる」 彩の行動に何かを察した様子で話を変えてくれた。 そのままエレベーターで23階まで行き、カードキーで部屋の鍵を開けた。 「お邪魔しまーす」 「流星、俺の部屋に彩連れて行ってあげて?」 「えー…なんか流星くんが先に知ってるのやだー」 「草野、キッチンこっちだよ」 「あっ、うん!」 文句を垂れている彩を無視して草野を奥のキッチンのあるリビングへ連れていく。 「材料たくさん買ってきてくれたんだ。ありがとう」 「いや、星野にね、夜はパーティしよって言われてさ」 「は?聞いてないんだけど」 「やっぱり?だと思ったよ…。…なんか、楽しくしたかったんだと思うよ。星野なりに考えてさ」

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