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第33話

草野はテーブルの上にスーパーのレジ袋を二つドンと置いた。4人の昼食にしては量が多いと思ったが、そういうことか。 見たところ、パーティらしくコーラの2リットルのペットボトルが入っているのが見えた。 俺の好きなスナック菓子も入っていて、流星が選んでくれたのだとわかる。 「ちなみに昼はスパゲッティ。出来たら、紀田にも手伝ってもらいたいんだけど…」 「おう、全然いいよ」 「僕だけでも全然いいんだけどね。ほら、場所借りてるのに紀田に手伝いまでさせるなんてさ…。でもこれも星野から言われてるんだ…。あっ、これ言ったことは内緒だよ!!」 草野は慌てたようにズレた眼鏡の位置を直す。 「彩が?」 「そう…流星にもそうするように頼まれちゃったんだよね…僕の予想なんだけど、僕達がキッチンで作ってる間に何か準備するんじゃないかなぁ…」 「準備…?」 「そうそう。…ま、僕達は何も気付かないふりして、楽しみにしてよう?」 ふにゃりと笑った草野のその表情は見たことがなかった。明るく誰とでも仲良く、真面目に愚直に。長年クラス委員長を務めてきた草野のそんな仮面を取り去ったのは流星なのか。彼氏って凄いな…。 「さーて…家庭科の実習でも紀田くんいつも大活躍じゃない?手伝ってもらっちゃったら僕の出る幕なさそう」 「お前こそいつも先生からの評価◎だろ。いつも調理実習班長にされてるよなー」 他のやつらに言われたら嫌味かと思ってしまうようなその発言も、草野に言われるならむしろ嬉しかった。 「いやいやー。委員長だからって押し付けられてるだけだよー」 「…確かに。お前の班が、っていうよりお前が全員分作ってる感あるもんな…」 「だから紀田くんみたいにみんなに役振り分けて班員動かせてる人見るとすごいなぁって思うよー。僕の単独行動みたいになっちゃって、調理実習って…そんなに楽しみじゃなかったんだよね…」

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