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第38話
「うーんと…差し入れ?」
俺のツッコミは激しくスルーされ空気に消えた。
草野は俺をスルーした後少し考えてそう答える。
「差し入れ?」
「でも多分それが最初だよね?」
「差し入れだな」
草野と流星は意味深に見つめ合い微笑みあっている。胸焼けしそうだ!
「俺が流星に差し入れしたんだ。…ほら、流星モテるから、色んな女の子が体育館の前の流星への差し入れ箱に差し入れするだろ?」
バスケ部の主力選手である流星は女子がファンクラブを作っている(らしい)くらいに人気で、体育館の入口に流星宛の差し入れ箱(流星くんBOXと呼ばれている)が設置されていて、そこに入れたものは食べ物以外なら全部流星へと渡る仕組みなんだそうだ。
俺も差し入れしている女子を見たことがあるが、入り待ち出待ちがある様で、部活の開始時間と終了時間には体育館の入口はごった返している。部活中は体育館内の観覧席で流星を観るというのが、ファンクラブの礼儀らしいので、部活中はそこまでではないが。
「あぁ。でもあんなに女子で混んでるのに、よく差し入れしたな」
「部活中にこっそりね、入れたんだ。誰もいないのを見計らって。…流星は俺の憧れだったから」
思いのほかものすごいエピソードがある様で、テレビを眺めていた彩もこちらに耳を傾けている。
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