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第44話
「ちょっ待っ…え?」
「しょうがないでしょ、2人お客さんなんだから。それとも4人で風呂場で処理する?その方が恥ずかしいでしょ」
風呂場から一つ洗面器を持ってきた彩は蓋を閉めた便座に俺を座らせるとズボンを下げようとしてくる。
「いやいや!待て待て!?落ち着けって!!」
「匠の方が今までに見たことないくらい落ち着きないけど?」
お姫様に跪くように彩はしゃがみ込むと部屋から持ってきていた大きめのバスタオルを広げる。
「何すんだよ!」
吠えるように叫ぶと彩はあからさまに大きな溜息をついた。
いつも俺に対して好き好き大好き大事にする。みたいな態度ばかりであった彩が思いのほか冷静にセックスの準備をしているのがなんだか気に触る。
もっと、興奮してくれれば俺だって…。
いや俺だってなんだよ!
「…男同士って準備が大変なの。わかる?」
「…」
「わかったら大人しくして」
俺が何も言わないのを了承と取ったのかバケツにフェイスタオルを浸して雑巾しぼりの様に水を抜いた。
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