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第53話
「まぁ流星くんがひとりでも大丈夫なら部屋分ける?」
「あ…うん」
彩は心配そうに流星に確認を取ると、流星も曖昧に頷いた。緊張しているようだ。
「記念すべき初エッチだもんね、分けよう。部屋」
「よかったー…」
草野はよほど部屋が一緒なことを気にしていたようで、部屋を分けることに決まった途端立ち上がって移動の準備を始めた。…が、慌ててまたしゃがみ込んだ。
下に履いていたのは下着1枚だったからだ。
「でもここは匠の部屋だから匠が使うにしても、流星くん達はどこ使うの?いくら人が来ないって言ってもリビングは嫌じゃない?」
「ああ、それなら…あの部屋使っていいか?」
「あの部屋?」
多分流星の言うあの部屋、とはおもちゃやゲームが置かれていて俺達が遊ぶ時は必ず使っていた子供部屋のことだろう。
このマンションは子供がふたりの設計なのか同じような子供部屋がふたつあったので、一人っ子の俺に両親が両方与えてくれた。
この部屋にもテレビはあるが、その部屋にはゲームをするためだけに置かれているテレビやマンガなどが所狭しと置かれているのだ。
中学生くらいのときは流星が泊まりに来ればその部屋で雑魚寝したりしていたくらいで、簡易的なベッドも置いてある。
「いいぞ、使っても。冷房も使っていいから」
「じゃあ使わせてもらうわ。なるべく汚さないようにするからさ」
「…ああ」
思わず流星と草野の行為を想像してしまっていたたまれなくなってしまった。
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