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第54話
流星がやっと心を決めて立ち上がった時には草野はもう既に荷物をまとめていて、履いてきていた制服のズボンに足を通していた。
やはりさっきの下着だけで立ち上がったのを気にしているようで、しゃがんだまま履いている。
「じゃあまあ、気をつけて。不安になりながらやっちゃだめだよ。草野くんも心配になっちゃうから」
彩が部屋の隅っこに流星を呼び小声で何かを指示しているようで、流星はしきりに頷いている。
立ち上がった草野を見ると彩は流星とのこそこそ話をやめた。
「じゃ」
「紀田くん!」
草野は俺の名前を呼ぶと謎のガッツポーズをして部屋から出ていった。
「さっきのなんだ…?」
「頑張れってことじゃね?」
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