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第13話※
※次回より週末更新になります
「……ひ、ぁ……ァ!」
そこは既に濡れていた。
オメガはヒート時に腸の奥にある子宮が下りてくる。それにより膣液に似た成分を分泌し、ようは腸の中を綺麗にしようとする働きがあるらしい。
滑りを利用してロイさんはあっさりアツシの中に指を入り込ませた。
「やだ……!汚…ぃ…」
「ヒート中だから大丈夫だよ」
何がどう大丈夫なのかあまり思考が回らないままぼんやりと思ったがすぐそれも霧散した。
ロイさんの長い指がぐちぐちと卑猥な音を立てて中を探る。
とはいえ括約筋は健在なのですぐに広がるわけではない。
「ぁ……あ、ァ……」
じんとした刺激が巡る。熱い。
止めようと後ろへやった手は力が入らずロイさんの手に添えるだけになっていた。
自身の体も支えきれず、棚にしがみつくようにして何とか体勢を維持するので精一杯だ。
「あぁ……!!」
そうして広げたり押されたりしているうち腹側に1箇所、触れられると逃げたくなる程の違和感を感じる場所があるのに気づいた。
及び腰になるのにロイさんも気づいたのか、何度もそこばかりをノックされる。
「ぅ゛、ぁ……やだ、ロイさんそれ……嫌だ……っ!」
「大丈夫。慣れないだけだから慣れたら気持ちよくなるよ」
逃げる腰を引き寄せ、何度もそこを刺激される。
「ぁ゛やだ……っこわ、い」
慣れない刺激に怯え、とうとうアツシはボロボロと泣き出した。
するとロイさんの雰囲気がガラリと変わる。
せっかく抑えていたはずのアルファの圧が濃厚なものに変わった。
「や、なんで……」
物理的に圧迫されながら更にフェロモンで押さえつけられアツシは快感と恐怖でロイさんを振り返った。
こちらを見下ろすロイさん目元は赤く、瞳の奥がやたらとギラギラしている。
興奮しているからか、半開きになった口元から赤い舌が覗く。濃厚なまでの雄 の気配――。
アツシのフェロモンに当てられて発情し掛かっていた。
「……ひ、」
「あんま怖がんないで……我慢出来なくなる」
「ぁ……ぁ゛!」
ぢゅっ、と首筋に吸いつかれアツシは悲鳴に近い声を上げた。
――熱い、ゾクゾクする。
項に疼くような痺れが広がる。
それと同時に噛まれてはいけないと危険信号のように頭がガンガンと痛み出す。
そんな混乱のさなか、次第に変化が訪れた。
ヒリヒリとした刺激からズンと重くなるような、明らかな快感に塗り替えられ始めたのだ。
「……ァ、ぁ!あ……っ!!」
「良くなってきた?」
アツシの変化に目敏く気づいたロイさんが囁く。
グイッと顎を捕まれ、そのまま上を向かされた。
ギラギラとした目で見つめられるとそれだけでゾクゾクとした刺激が駆け抜ける。
「やだ、ぁ!や、まって……ま……って!」
「待たない」
舌なめずりしたロイさんはアツシの顔をじっと見つめたまま何度もそこを押しつぶした。
「あぁ!!……ァっ!!」
止めたいのに声が抑えられない。
もう触れられていないのにペニスは完全に持ち上がっていた。
「あ゛ぁ、ぅあ!」
トントンとリズミカルに奥をノックされる。
その度に目の奥がチカチカする程の快感が体全体を駆け抜けた。
刺激され続けて腰が重たい。
「っ、イきそ……や、はなしてロイさ……ン、!!」
吐精感にアツシが悶えるとロイさんは再びその唇を塞ぎにかかる。
「ン゛……ふ、んン゛……っ!!」
無理やり後ろを向かされ、息苦しさで喘ぎながらアツシは耐えきれずにそのまま精を吐き出した。
それと同時に唇も離れていく。
アツシは肩で息をしながら乱れた呼吸を鎮めようと躍起になった。
それを後ろから眺めつつ、ロイさんは優しく髪に触れる。
「ん、出せたね。イイ子」
ちゅ、と首筋へキスを落とされるとまたゾクリとした刺激が起きて震えた。
「……ぁ、」
指を引き抜かれ、思わず惜しげな声が漏れる。
「ふふ、言ったでしょ。イかせるだけだって」
もう何もしないよと言われてようやく理性が戻ってきた。
どうやら薬が効いてきたらしい。
「あ……俺……っなんで」
「ヒートだからだよ。これがオメガのヒート。今は薬で抑えられてるけど、本当のヒートはもっと強いよ」
混乱して泣きそうに顔を歪めるとロイさんは宥めるように説明した。
「アッシュ君はまだ理解しきれてないみたいだけど、これが発情したオメガだから。ちゃんと慣れて」
非情な物言いにアツシは絶句する。
そんなアツシの様子を見ていたロイさんはクスクスと笑うとおもむろに手を伸ばした。
首元に伸びる腕。また何かされるのではと思わずぎゅっと目を瞑るとすぐ耳元でカチャリと音がした。
「……え?」
何やら首に違和感がある。そろりと触れてみれば首輪が着いていた。
「それ、毎日付けてきてね」
分かった?と聞かれよく状況が分からないままアツシはコクコクと頷く。
「あと、約束も忘れないで。忘れたら孕ませるからね」
「……ひっ」
本気で怯えるアツシにロイさんは冗談だよと言ってクスクスと笑った。
いや、目が冗談じゃなかった……!
「今日はもう上がっていいよ」
ロイさんは機嫌よく笑うとアツシの首に付けた首輪を撫でる。
もしかしたら、いやもしかしなくともとんでもない約束をしてしまったのかもしれない。
今更ながらアツシは顔を青ざめさせるがもう遅い。
「……ぉ、お疲れ様でした、」
アツシはなんとかそれだけ絞り出すと衣服を整えるのもそこそこに、彼の視線から逃れるようにして店の外へと飛び出した。
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