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第23話※

大人しく休憩室で待っていると、程なくしてロイさんはシャツを片手に戻ってきた。 「おまたせ。はいこれ」 「ありがとうございます」 良かったとホッとすると同時に、何となくロイさんの視線が気になった。当の本人はというと、着替えないことに首を傾げている。 「どうしたの?」 「……あの」 「ん?」 「……何でもないです」 女性でもあるまいしここで見ないでくれというのも何だか変な感じがした。首輪の件だって、彼が付けたのだから今更隠すこともない。 アツシはせめて視線から外れようと後ろを向くと大人しく上着を脱いだ。 「あーぁ、インナーも濡れちゃってるね」 そっと服の上から背中を撫でられ思わず肩が跳ねる。 「あ、の……」 気のせいだろうか、なんだか距離が近い。 ロイさんがいつもつけている香水がすぐ近くで香る。彼の香水はあまりキツくないので至近距離にならないとここまで香らない。 恐る恐る後ろを振り返れば案の定すぐ真後ろにロイさんが立っていた。 アツシと目が合うとロイさんはつい、と首輪に手を添える。 「濡れてるから乾かさないと」 「……っ、」 どうやら首輪を外させようとしているらしい。 脳裏にこの前のことが浮かぶ。と同時に自身の醜態も芋づる式に思い出してしまい、思わず顔が赤くなった。 咄嗟に逃げようとすると首輪を指で引っ掛けてその場に留められる。 「首輪(これ)、自分で外して」 アツシが躊躇するとロイさんは耳に唇寄せた。 「約束したでしょ?忘れちゃった?」 「……う、」 尋ねながらじわじわとアルファのフェロモンで圧をかけてくる。最初はふわふわとした心地だったが、圧が強くなるにつれ次第に頭がぼーっとしていく。 ――外してはダメだ。 思ってはいても本能的なフェロモン(それ)には逆らえず背中が震える。結局じわじわとやってくる圧に負けてアツシは震える手で何とか首輪を外した。 外した瞬間、ロイさんは人の悪い笑みを浮かべ嬉しそうにキスを寄越す。 完全に奥で縮こまっている舌を器用に引っ張り出すと自身のそれに絡めた。 「ン、ぁ」 くちゅくちゅと口内から卑猥な音が鳴る。絡ませた舌が熱い。 未だフェロモンを出され続けているからか、背筋を通るゾクゾクとした刺激が止まらない。 「……っはぁ」 息が熱い。ぬるぬるとした舌の感触が生々しくて思わず身をよじるが、がしりと腸骨を掴まれて動けなかった。 そのまま片腕でのホールドに切り替えると、ロイさんは空いた手をするりと裾から差し入れる。 「ちょ……っ、と!」 尚も逃げようとするとそのまま壁へと押し付けられた。 腰からヘソを辿り、上へ上へと手が伸びていく。肋骨を撫でるとそのまま胸の上で止まった。 「ふふ、寒い?乳首勃ってるね」 カリ、と乳首を爪でひっかかれる。そんなところ触るとは思わずアツシは動揺した。 「お、れ女じゃない……」 「あれ?男でも気持ちよくなるの知らない?」 そのままゆっく撫で回されるが、違和感があるだけで特に何も感じない。 「知らない……」 というか知りたくもないというのが本音である。 ――いいからこのまま穏便に帰らせてくれ。 暫し考えたあと、ロイさんは人の悪いニンマリとした笑みを浮かべた。 「よし、じゃあここでイけるようになるまで頑張ろうか」 「は?!」 言うや否や、そのままごそごそとアツシのインナーをたくし上げていく。 「ちょ、ちょっとまって……!なんで?!」 まさかの展開に思わず声を上げるがロイさんは止まってくれない。 「んー、触りたいから」 「意味わかんない……!」 アツシはぎゃんぎゃんと喚くがもうその気になってしまったのか、ロイさんは気にすることなくお触りを続行した。 クリクリと痛くない程度の力で両胸に触れる。 全く何も感じないわけではないが、決して気持ちよくはない。 触られている感触はあるので強いて言えば違和感がある程度。だというのにロイさんは飽くことなく胸を触り続けた。逃げようにも壁に押し付けられている状態なので動けない。 時折後ろから背中を食まれる。 「ぁ……」 そちらの方がよっぽどゾクゾクするのだが、そんなこと言えば喜ばれるので言わない。 しかし言わずとも分かるのか後ろからクスクスと笑われた。 「背中気持ちいい?」 「……ンっ、」 ピクリと反応を返すと胸を再び押しつぶされる。 そのまま押すように潰したり胸全体を揉むように触れられた。 「もう、終わりにしましょうよ……寒い」 寒いのは本当だ。上着は脱いでいるし、唯一着ているインナーも濡れている。 鳥肌が立っているのは触れているロイさんにも分かるはずだが、気にするそぶりもない。 「んー、……やだ」 暫し悩んだものの、アツシの寒さと自身の欲望を天秤にかけて欲望を取ったのだ。最悪だこの人。 はっきりそう告げたロイさんはアツシの腰を引っ掴むとズルズルとソファの方へ移動させる。 「わ……っ、」 軽々と移動させられたアツシはソファへと乗り上げるとロイさんがその上に覆い被さってきた。

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