「んぅ……っ、」 びっくりして半開きになると器用にもその隙間から舌が差し込まれる。寝起きにするには濃厚なディープキスだ。 「……ン……ふぁ……っ」 くちゅくちゅと間から卑猥な音が鳴る。 絡めた舌先に痺れたような電気が走った。 何度も何度も、口づけながらロイさんはおもむろにアツシの腰を触る。 尾てい骨の少し上の部分を撫でるように触られると何だかゾクゾクとした快感に近い何かが駆け上がる。 「ン、んぁ……っ」 明らかに痺れるような気持ち良さを感じてアツシは目を白黒させた。 何だ。 ただ腰に触っているだけなのに身体が勝手に跳ねる。 キスをしながらそこをなぞられると首の後ろまでゾクゾクした。 「気持ちいいでしょ？君のイイトコロ」 「や、ァ……っそこやめて……っ」 「やぁだ」 逃げようと腰をくねらせると無理やり腕を引っ張られ体勢が変わる。 いつの間にやらロイさんの上に跨るような体勢だ。 跨った途端、お尻に硬い感触が当たってアツシは悲鳴をあげた。 「……ひっ！」 「んー？あぁ、生理現象だから許して？」 ケロッとした顔でそう言い切るが、えげつないほどピンポイントで秘部を狙って腰を動かしてくる。 「なら押し付けるのをやめて下さい！」 「えー、」 ぐりぐりと窄みを抉るようにして下から押し付けられ真っ赤になって身をよじるが、腰をがっちり掴まれていて動けなかった。 「じ、自分でしてくればいいでしょう！」 真っ赤になって腰を上げようとするが腸骨の部分を無理矢理押さえ込まれる。 「だってこの手だと出来ないからさぁ」 そう言ってロイさんはこれ見よがしに怪我した手を見せつける。 一瞬納得しかけたがそういう問題じゃないと首を横に振った。 それに不満そうな様子のロイさんだったが、しばし考えたかと思うと満面の意地悪い笑みを浮かべる。 「じゃあ、舐めて？」 「……………………は？！」 一瞬言っていることは理解出来るのに脳味噌の方が処理し切れずアツシは固まった。 舐めてって――何を？ 「そんなの決まってるでしょう？」 「む、無理……っ！！」 ぶんぶんと首を横に振るとどこからか取り出したローションをちらつかせる。 「じゃあしよっか？」 「え、ちょ……っ」 そのままジーンズを寛げられそうになりアツシは慌ててその手を掴んだ……が、そもそもの腕力が違うので全く歯が立たないで引っ張られる。 冗談だろう？！とロイさんの顔を見れば目の下が少しだけ赤らんでいる。最近見るようになった雄の色だ。 ――マズい。このままだと本気で食われる。 「わ、分かりました！やります、やりますってば！」 半分脱がされかけたところで慌てて訴えかけるとキョトンとした表情のあとにロイさんはニコリと笑った。 「そ？じゃあして？」 その手のひらの返しようにようやく嵌められたのだと気づいたがもう遅い。 正直ここ最近抱かれてばかりで体力の消耗が激しい。 どうにか抱かれない方向に持っていきたいところだ。 元々その気になったらテコでも動かない人なのでここは彼の望む通りにするしかないだろう。 とはいえ、フェラなんてしたことがないのでよく分からない。 「あ、の……」 「んー？」 「やり方が……」 口ごもると意図を察したロイさんがあぁ、と相槌を打った。 しばし思案した後でニマリと笑う。 「じゃあ言う通りにして。ほら、そこお座りして？」 そこ、とはベッド脇――要するにカーペットの上だ。 促されるままそのにぺたりと座るとロイさんがアツシを挟むようにしてベッドへ腰掛けた。 「まずは服の上から触ってみて」 そう言われてもどう触ればいいのか分からない。 自分でするのも必要最低限な上、他人のものなど勿論触ったことは無い。 いつもロイさんに触られはするが触ったことなどなかったのだ。 それが顔に出たのか、またくすりと笑われる。 「撫でるように下から上に」 言われるがまま、ロイさんの声に従って恐る恐るそこをなぞっていく。 「そのまま往復させて」 さするようになぞると触れたそこがピクリと反応した。 布地が柔らかいからか、ロイさんのペニスの感触がダイレクトに伝わってくる。 その生々しい感触に今更ながらドキドキする。 真っ赤になって視線をさまよわせているとそっと顎を掴んで股間の方へと引き寄せられた。 「今度はそのまま唇で挟んで」 先端じゃなくて下の方からね、と付け足される。 段々テントが張り始めたそれより下の方に口を寄せると意を決して口に含んだ。 とはいえ布越しなので伝わってくる気配は微々たるものだ。 そこを食むと柔らかな感触が唇にも頬にも当たる。 何度か繰り返していると本格的にテントが張り出した。 固くなり始めたそこはまた感触が変わってドキドキする。 ――なんか、変な気分。 気持ちがソワソワとして落ち着かない。 けれど不思議なことにこの行為に嫌悪を抱くわけではなかった。