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第61話

思わず腰を引くと追い討ちのようにグッと力を入れられる。後ろからはそれを補佐するように腰元で抑え込まれた。 「やめてください……ぅ!」 「気持ちいいでしょ?」 気持ちいい……気持ちいいけれど恥ずかし過ぎる。 ピクリと自身のモノが動いたのばわかって頬に赤みが増す。 「出来る?」 「や、できな……いぁ……っ」 ロイさんはクスクスと笑いながらアツシの首筋にキスを落とす。触れる髪がくすぐったくて顔を逸らした。 我慢するので精一杯で、もう抵抗らしい抵抗が出来ない。 それをいい事にロイさんはアツシのパンツをずらすと直接握りこんだ。 「ほら、ここも好きでしょ」 指を取られ、自身の指で鈴口を抉らせられる。 自分でするのとは違う動きにひくりと腰が動いた。 「やだ……ぁ、」 「あとほら、ここ」 くびれの所を何度も指で引っ掛けるようにされると声にならない喘ぎが漏れる。イキたいのにイケなくてもどかしい。 もうロイさんの体調がどうだとか、そういうことは頭から抜け落ちていた。 ただただこの辛い状況から解放してほしい。 「ろいさ……ァっ、さわって……」 「だぁめ。自分でしてよ」 ピタリと手を止められて身体が震える。それを覗き込むようにしてロイさんは後ろからアツシを眺めた。 「なんで……っ」 「だって見たいから。しないとずーっと気持ちいいままだよ。それも良いけどね」 アツシの指は鈴口に固定したまま、反対の中指で何度も竿部分を往復される。 時々くびれの所だけ小刻みに往復するのが意地悪だ。 焦らされるのが辛い。 だというのに後ろからはずっと耳や首筋を食まれている。 それが気持ちよくて仕方ない。 ――もうだめ……おかしくなりそ……っ、 「動かして」 「ン……っ、んぅ……ぁ、」 言われるがまま、我慢出来ずにゆっくりと自分で扱き始めた。ロイさんの視線を感じて背筋がゾクゾクする。 じわり、と先走りが滲んで滑りが良くなった。 「そうそう、上手。ほら、えっちな汁いっぱい出てきたね」 「や、変なこと言わな……で、」 「ホントの事でしょ。ここ、ぐっしょりじゃない」 イヤイヤと首を振ると手の上から揺すられる。 自分でするのとは違った動きに翻弄されて思わず感じ入ってしまう。 クスリとロイさんが笑ったのが見なくてもわかった。 「あァ……っ!」 ――イきそう……っ、 パクパクと鈴口がヒクつく。 後ろからもそれが分かったのか、手の動きが自然と早くなるとそれを遮るように手首を掴まれた。あと少しでイケそうだったのに、それを止めるように手ごと握りこまれる。 「や、なんで……っ、」 「夢中だから……妬けるね」 ロイさんも目元が赤い。目を細めて笑うと更にそれが分かってドクンと心臓が跳ねた。 言葉だけだって分かっている。それでも。 ――そんなこと言われたら意識してしまう。 「ほら、して欲しかったらおねだりして?」 手は固定したまま、そっと耳元で囁かれた。 ロイさんの甘い声が耳に残るようでゾクゾクする。さっきよりも耳が熱い。 意識しているとちゅっ、と耳に口付けられた。 「お、おねだりって……」 「ちゃんとその気にさせて。そしたらしてあげる」 そんな事言われてもどうすればいいのか分からない。 分からないけれど、もう既にいっぱいいっぱいだ。触って欲しくて仕方ない。 しかし、それを言っていいのか迷う。 それでも身体は我慢出来ない限界のところまで来ている。 ロイさんを見上げると楽しそうな瞳と目が合った。 弧を描く唇に目が奪われる。 吸い寄せられるようにそこへ自身の唇を合わせた。 唇押し付ける様にして吸うとチュッ、と濡れた音が響く。 合わせた唇さえも気持ちがいい。 何度か食むようにしてロイさんの唇を味わった。 自分からキスをするのも初めてで、どうにかなりそうな程心臓の音が鳴っているのが耳裏から聞こえてくる。 キスをしながらロイさんの手をそっと誘導し自身のペニスに宛てがった。 「さ、触って……くださ……ぃ」 「……」 頑張っておねだりしてはみたものの、ロイさんからはなんの反応もない。 かと言って後ろを振り返る勇気はなかった。 ――は、恥ずかしい……。 いたたまれなさで下を向く急激にロイさんのフェロモンがぶわりと香る。 むせ返るような甘い刺激に驚いていると突然、両膝裏に手を入れられその場に転がされた。 「や、何……っ、」 「……触ってあげる。その代わり、」 顔を近づけられて気づいたが、目の奥に明らかな欲が見え隠れしている。それに思わずドキリとする。 「目、そらさないで。そらしたら止めるからね」 どういう意味かと問う前にロイさんはじっとアツシの目を見つめたままグチグチと扱き始める。 待ち望んだ刺激に身体が歓喜で震えた。 むせ返るような|ロイさん《アルファ》の香りに包まれて頭がぼーっとしてくる。 そんな中で覗き込むようにじっと見つめられどうにかなりそうだった。

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