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第62話
この恥態を見られていると思うと恥ずかしい。
思わず視線を外すと手を容赦なく止められた。
「あ……っ、なんで……ぇ、」
「言ったでしょ。目そらしたら止めるから……そらさないで」
「そ、んな……」
「ほらこっち向いて」
首や耳まで熱くなりながらも唇に手の甲を当てて羞恥心に耐える。触って欲しくて言われた通りそっとロイさんを見ると前を触る手が動き出した。
「ん、ァ……っ、」
チラチラと見え隠れする両目を見つめていると堪らない気持ちになってくる。
自然と息が上がって苦しかった。
我慢出来なくなって目をそらす度に手が止まり焦らされていくのが辛い。
ぐるぐると身体の中を発散できない快感が巡っていく。
ギュッと根元を握り込む手を、震えながらも上から掴んだ。
「お、ねがぃ……ロイさん……イかせてぇ」
「ちゃんとこっち見てたらね」
気持ちよさよりも恥ずかしさで涙が溢れてきた。
ボロボロと溢れる涙をロイさんは片手でそっと拭う。
苦しくてその手にすり寄るように頬を寄せるとロイさんの香りが更に強くなった。
「……ぁ、あァ……っ、」
強い香りに包まれて訳が分からなくなる。
ロイさんもさすがに当てられるのか目尻や唇が充血して赤くなっているのが見える。
それでもアツシをイカせることはせず、こちらを見るのを待っている。
もう我慢のし過ぎで目線が上手く合わせられない。
ゆらゆらと視線が動きながらも何とかロイさんの目を見つめるとクスリと笑われた。
「いい子……」
「あっ、あァ……っ、いァ!!」
「きもちい?」
「や、はや……っい……、!!」
突然手のスピードを早められて背中を丸める。
丸めた拍子に視線が外れるとまた手を止められた。
「あ……いや……ロイさんもう、イかせてぇ……っ」
「ふふ、だぁめ。もっとこっち見て」
ふーふーと肩で息を吐き出す。ボロボロと涙を零してもイかせてくれない。
羞恥心と吐精感でぐちゃぐちゃなりながらもロイさんの顔を見上げた。
アツシの視線を確認すると再び手を動かし始めるが、今度はゆっくりとしたスピードだ。
1度引いてしまった波はゆるゆるとしたものに変わってすぐにはやってこない。
とてもじゃないがこのままではイケそうにない。
「ぁ……はぁ……っ、」
それがもどかしくて腰が揺れると反対の手で阻まれた。
「もぉ、イキた……いぃ……」
「ん、ごめん……キスしたいから待って」
「ん……ふ……っ」
断りを入れたロイさんは言葉通り手を止めるとアツシに深いキスを送る。
ぐちゅぐちゅと舌が絡む熱と音が響いてどうにかなりそうだ。
イカせて欲しくて強請るようにロイさんの舌に自身の舌を絡める。
暫くそうして互いの舌先を味わうとようやく満足したのか顔が離れていく。
それに合わせてツ、と銀の糸が尾を引いてロイさんの口元で途切れた。
舐めとるように舌でねっとりと自身の唇を舐るのが見える。
真っ赤な舌が柔らかな唇を舐め上げると合わせて僅かに形を変えていく様がいやらしい。
「硬くなった」
「うぅ……っ、」
ロイさんは目を細めてこちらを覗き込んだ。
そんな顔見せられたら興奮もする。ましてやこちらはずっとイかされもせずに煽られているのだから堪らない。
「ろいさ……ろいさんン……っ!!」
「ん、そろそろイこうか」
縋るようにしてロイさんを見上げると目を細めて笑ったロイさんが手の動きを速めた。
待ち望んだ刺激に身体がビクビクと跳ねる。
信じられないくらいぐちゃぐちゃに濡れた下からは激しい水音が響いた。
「あァ……ぁ……っ!!」
「イきそ……?」
コクコクと何度も頷くと、手のスピードはそのままに反対の手のひらで先端を握り込むようにして側面をぐりぐりと擦られる。
「あ゛……っ!つよいぃ……っ!!」
「でも気持ちいいでしょ……?」
「あ゛は……ァ……っ!!」
逃げたくて腰を引いてもベッドに阻まれて逃げられない。
ずりずりと上へ逃げれば引き戻され再び擦られた。
視線を外せば止めてくれると分かっているのにもう刷り込みのように覚えてしまい視線が外せない。
2つ目宝石みたいな目がこちらをじっと見つめている。
その瞳の中に自分のあられも無い姿が映っているのが見えて余計にあおられた。
「ほら、イっていいよ」
「あァ゛――っ!!」
囁いたついでとばかりに首筋を食まれる。その感覚を追いながらアツシはガクガクと腰を揺らして吐精した。
「……っは、はぁ……うンっ、」
最後まで搾り取るようにアツシのを何度も擦ると出尽くした精液を手元に集める。
ロイさんは暫くそれをじっと見つめていたかと思うとぎゅっと握りこんだ。
「……、……っ?」
ぐったりとベッドへ身を投げ出したままその様を眺めていると気づいたロイさんがアツシの前髪にキスを落とした。
「疲れたでしょ。寝てもいいよ」
話しながらもティッシュで簡単に綺麗にしてくれる。
それにまた震えるとクスリと笑われた。
「ん、でも……」
ぐちゃぐちゃだからどうにかしないと起きた時に悲惨なことになる。
そう思っているのに疲労感から自分の意思とは関係なく瞼が下がってきた。
身体がとても重い。
「やっておくから良いよ。だから、もう少し居て」
「……ん、」
そう言われてしまえば断る理由もない。
ロイさんの体温を感じながらアツシの意識は自然と落ちていった。
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