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第75話
――ばちゅん、
何とも形容しがたい揺れた音で意識が急速に浮上する。
それと同時に苦痛なまでの快感が一気に押し寄せてきた。
「あぁ゛……っぅ゛……、!!」
「あぁ、起きた?」
何ともない事のようにロイさんはアツシの顔を後ろから覗き込む。
秘部もお腹の奥も熱くて仕方ない。
「ぁ゛、なに……っ?」
一瞬、なにが起きているのか忘れてしまい突然の快感に動揺する。
しかしすぐにさっきまでのことを思い出してソファにしがみ付いた。
意識が戻るとどうしようもない快感と共に下にも鋭い痛みが走る。
抑えきれなかった先走りなのか透明とも白濁ともつかないよく分からないものがコプコプと溢れているのが見えた。
膝が笑ってしまって動けない。
そんなアツシを固定するように支えるとロイさんは奥の方だけでゆるゆると抜き差しした。
「あ゛ぁ……!!」
途端にさっきまでの快感が一気に押し寄せてくる。
「あ……はぁ゛……っ!はず、ひて……ぇっ」
「だめ。言わないと外さない」
「や゛らぁ……っ!」
もう上手く呂律が回らない。深く考えることも出来なくて何を言えと言われていたのかも思い出せない。
ただ苦しくてグズグズと泣くとロイさんはアツシの身体を床の上に引き下ろした。
ぐったりと動けずにいるアツシを横向きに変えて片足を持ち上げる。
「あぁ゛……ン゛んッ!!」
腰をグッと押し付けるようにして奥を再びえぐる。それが苦しくて床に爪を立ててもがいた。
苦しい。
イキたい。
顎を無理矢理持ち上げてキスを強いるが苦しくてイヤイヤと首を振って拒否する。
「なんで嫌なの」
――なにが、
なんの事なのか分からない。
ただ苦しくて仕方ない。
「首輪。なんで外したくないの」
ハクハクと口を開けて喘ぐともう一度問われた。
「……っ、言って。なんで嫌なの」
「…………す…の、やら……ァ」
「……聞こえない」
ボソボソと口の中だけで呟くアツシをゆるゆると責め立てる。
涙声になりながらもやめて欲しくて必死に答えた。
「も、かんちがい……す…の、やらぁ゛……っ、」
「何が」
――苦しい。
責め立てられるのとは違う胸の苦しさを思い出し、ボロボロと涙をこぼす。
「すきじゃらい……くせに……っ!おれ、ばっか……ァ、」
辛い。
自分ばっかり好きでロイさんの気持ちがわからないのが辛い。もうこれ以上勘違いしたくない。
好きじゃないなら触らないで欲しい。
嗚咽を我慢出来ず声を漏らしているとロイさんがアツシの腕に手を伸ばした。
「ひぁ゛……ぐ……ぅっ!!」
引き抜かないまま、いきなりぐるりと体を回され正面に向き直させられる。
中をゴリゴリと擦られてまたそこでイってしまった。
目の前がチカチカする。まるで星が飛んだような視界に一瞬頭が真っ白になった。
それを遮ったのはロイさんだ。
「は……っ、ぁ」
アツシが整わない息を荒らげていると顎を掬い、深く口付けてくる。
両手で突っぱねるが力が入らないせいで拒否しきれなかった。
「ん……っ、ふぅ……、」
深く口付けられて苦しい。
ロイさんの服を握りしめて苦しいとアピールするが止まってくれない。
器用にもキスを続けたまま、ロイさんはゴソゴソとアツシのモノに手を伸ばす。
そこでようやく縛り付けていたゴムを外してくれた。
「ん゛……ふ、ぁ……っあ゛ァっ!!」
一瞬痛みに顔を歪めるが、それを上塗りするようにまたピストンを再開される。
耳のすぐ横で聞こえるロイさんの荒い息にお腹の奥がきゅぅっと疼いた。
「……っは、あつし……っ」
「あ゛……っ、ァ!!」
いきなり名前を呼ばれて身体がビクンと跳ねる。
後ろを締め付けてしまい、擦られ過ぎて鈍くなっていた抜き差しする感覚が鮮明になった。
それに感じ入ってしまい目の前のロイさんにしがみつく。
自分の肌も熱いがしがみついたロイさんはもっと熱かった。
その意味をよく考える暇もなくピストンが早くなり、アツシは喘ぎ声を上げる。
「い、ぁ゛……や、はやい……っ!!」
「……っは、」
喘ぐ声をかき消す様に腰はうちつけたまま深く口付けられる。自分からも必死になってロイさんの舌に自分の舌を絡めた。絡みついた舌からはくちゅくちゅと卑猥な音が鳴る。
それに夢中になって何度もロイさんの舌を追う。
もう何度目かなんて分からない射精感が迫ってくる。
それに気づいてアツシは涙を流しながらロイさんの首にしがみつく。
「ん゛ァ!!いく、いく……っ、」
「ん、イッていいよ」
「あ゛は……ぁっ!!」
奥を何度も擦られ、その刺激でアツシはようやく吐精した。
ビュクビュクと何度かに分けて出されるそれは勢いをなくして最後はダラダラとこぼれ落ちてくる。
「は……っ、あ……っ」
やっとイかせてもらえた快感で動けなくなっていると耳元に手が伸びてきた。微かな痛みの後にピアスを外されたのだと気づく。
「それはちゃんと僕が選んだやつだから」
「ぁ、……っ?」
耳打ちされるけれどふわふわと気持ちよくて上手く理解できない。
ピアスの上から耳を甘噛みされる。
――なに?
言葉の意味を理解しようとしているうちに段々とまぶたが落ちてくる。
艶やかに笑うロイさんの表情を最後にアツシの意識は再び暗転したのだった。
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