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第79話
2人が出ていった扉を見つめて熱い息を吐き出す。
これでもうアツシ1人きりだ。恐らくヒートが治まるまでは誰も入って来ないだろう。
そう思っても肩の力は抜けない。必死にコントロールしようと試みるが上手くいかなかった。
「ぁ、う……」
動いてもいないのにどんどん汗が浮いては息が上がってくる。身体もどんどん熱をもっているようで体の芯が燻っているようだった。
ふと自分の股間を見ればもう服の上からでも分かるほどシミを作っているのが見える。
部屋着の柔らかなズボンだから尚更だった。
「ん、ぅ゛……」
腰が揺れる度、衣服に擦れて気持ちいい。
動きたくないのに1度動いてしまうと勝手に腰が揺れて止められない。
態と擦れるように腰を押し付けて動かすとぬるぬるとした感触が伝わってきた。
「ァ、あ……っ、」
涙がどんどん溢れてくる。
どうやら抑制剤が効くまではまだ時間が掛かるようだ。
それまでは少しでも発散するしかない。
この前の自慰紛いのとは違う。本当に自分でしなければいけない。
自分ですること自体がかなり久しぶりだ。
元々欲が薄い上に最近はロイさんとそういうことをするようになったのでますますしなくなっていたのだ。
この前はロイさんがいたので恥ずかしくて沸騰しそうになっていたが今日はそんなこと言っていられそうにない。
――あつ、い
このままでは埒が明かないと気づいたアツシは仕方なく自分のモノに手を伸ばした。
服の上からそっと撫であげるとそれだけで腰に響くようなズンと重たい刺激が駆け巡る。
暫くはそうして撫でさすっていたが、すぐに物足りなくなりそっとパンツごとズボンをずり下ろした。
勢いよく飛び出した自身のモノは普段の自慰では考えられない程硬くなってダラダラと蜜をこぼしている。
それを塗りたくるようにして撫であげると先程とは違うダイレクトな快感が伝わってきた。
「ァ、あ……っ!」
1度触れてしまうともう手が止められず、何度も手を往復して擦り上げる。
竿部分だけではなくグリグリと先端も包む様にして擦ると声が抑えられない。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音が立つ度に鳥肌が立つようなゾクゾクとした刺激を感じて腰が跳ねた。
涙が勝手に溢れてくるのが少しだけ鬱陶しく感じながらも涙を拭う余裕が無いアツシはパチパチと瞬きをすることで流した。
「ンん……っぁ゛あ!!」
ヒートが来ているのでいつも以上に過敏になっているらしい。熱はどんどん篭っていってあっという間に達してしまうがそれだけでは満足出来ない。
自然とこの前のロイさんの声が蘇ってくる。
そういえば、好きだと自覚してから自分で欲を発散するのは初めてのことかもしれない。
『ほら、ここも好きでしょ』
「あぅ……ぅ、」
思い出しながら自身の指で先端をぐりぐりと押すとパクパクと口を開くのが感じ取れる。
蘇ってくる声のせいでまるでロイさんに触れてもらってるかの様な錯覚に陥った。
『あとほら、ここ』
「はァ……あっ、」
ロイさんがしてくれたようにくびれの所を何度も指で引っ掛けるように擦る。
それも十分気持ちがいいが、それでもロイさんの指の方が気持ちがいい気がするのはどうしてだろうか。
そのうちそれだけでは足りなくなって即物的な刺激を求めて何度も擦りあげた。
『そうそう、上手。ほら、えっちな汁いっぱい出てきたね』
「ん、んァ……っ、く!」
止めたくても手が止まらない。
脳裏に焼き付いたロイさんの姿を追うことで恥ずかしさもいたたまれなさも全て流した。
「ンん……っ!!」
夢中になって何度もイくまで擦るが欲求は晴れない。
それどころか後ろの方が熱くて仕方ない。
――奥が熱い
むず痒いようなぽっかりと隙間が空いているようななんとも言えない物足りなさを感じる。
あぁ、どうしよう。
やっぱりそこで浮かぶのはロイさんの顔だった。
身体を重ねる時にしか見られない赤く染まった目元を思い出すとどうしようもなくお腹の奥が切なく疼く。
顔が見たい。触って欲しい。
ほしい、ロイさん――。
『気持ちいい?』
あの声を思い出すだけでゾクゾクする。
本当は自分でなんてしたくない。そう思っているのにアツシの理性はガラガラと音を立てて崩れていく。
下を完全に脱ぎさると既に後ろはヒートが来たせいでベトベトだった。粘着質なとろとろとした液体がパンツにシミを作っている。
そういえば、後ろを自分で弄るのも初めてかもしれない。
しかし嫌悪感は残っていなかった。
「あァ、……っく……うぅ、」
してないので入口が固いが、すんなりと指が1本入った。ついでとばかりにそのまま2本目を挿入すると指で押し広げる。それすら気持ちよくて背中が丸まる。
――ぜんりつせん、おなかの方……。
ぐちぐちと音を立てて弄るとゾクゾクするような緩やかな快感が走る。
前を扱くのとは全く違う溜まっていくような熱感はじわじわとお腹の奥に留まり続けている。
気持ちいい。
そのままいつもロイさんが突いてくれる場所を探ると張ったように硬い場所を探り当てた。
「っ、ぁ……っ!!」
あぁ、ここだ。
夢中になって何度も指で突きながら快感に身を委ねる。
その度にじわじわと重だるい快感の波はあるのにやはり自分でするからだろうか、イクにイケない。
「たりな……ぁ、」
それに、欲しいのはもっと奥の方――指では届かない場所がむず痒い。
何とか奥へ押し込もうと反対の手で挿れた指を押さえてはみるがやはり届くには至らない。
それが焦らされるようで余計に熱が溜まっていく。もどかしい。
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