4 / 118
4月 和樹は腹が減った
時間を確認するとまだ昼前だった。
今日は一日ゆっくりできる。ゴロンとベッドに横たわり、伸びをする。
しばらくして制服のズボンに、鼻をかんだティッシュを突っこんだままだと思い出して、それを捨てる。
そのまま洗濯してたら大惨事になっていた。
洗濯は毎日専門の人がやってくれて、二日後に返却される。危うく他人様の服まで、紙くずまみれにしてしまうところだった。
「腹減ったー」
鞄から財布を取り出して、個室から出る。
食堂は混んでそうだから購買でいいや。パンと牛乳と……何かにしよ。
共有スペースには千葉がいた。彼もまた私服に着替えていて、ニット帽もちゃんと被ってる。
千葉がチラッと俺を見た。目が合ってしまったので、取りあえず声をかける。
「メシ行く?」
「……行かね」
そっかと言って俺は部屋を出た。
うん、必要以上に同室者とは関わらない。これが一年間うまくやっていくコツだ。
ちょっと寂しい気もするけど、まだ初日だし、大体こんなものだろうと思った。
ともだちにシェアしよう!