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4月 和樹は腹が減った

 時間を確認するとまだ昼前だった。  今日は一日ゆっくりできる。ゴロンとベッドに横たわり、伸びをする。  しばらくして制服のズボンに、鼻をかんだティッシュを突っこんだままだと思い出して、それを捨てる。  そのまま洗濯してたら大惨事になっていた。  洗濯は毎日専門の人がやってくれて、二日後に返却される。危うく他人様の服まで、紙くずまみれにしてしまうところだった。 「腹減ったー」  鞄から財布を取り出して、個室から出る。  食堂は混んでそうだから購買でいいや。パンと牛乳と……何かにしよ。  共有スペースには千葉がいた。彼もまた私服に着替えていて、ニット帽もちゃんと被ってる。  千葉がチラッと俺を見た。目が合ってしまったので、取りあえず声をかける。 「メシ行く?」 「……行かね」  そっかと言って俺は部屋を出た。  うん、必要以上に同室者とは関わらない。これが一年間うまくやっていくコツだ。  ちょっと寂しい気もするけど、まだ初日だし、大体こんなものだろうと思った。

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