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4月 和樹、キラキラ王子との再会
「ねー、だから言ったでしょ。これからも会うって」
俺は今、とある会議室にいる。三階の隅にあるここ307号室は、主に風紀委員会が会議をする場所である。
会議以外にもメンバーの溜まり場になったり、仮眠室になったり、使用用途は様々だ。
これらの知識は、俺の隣に座ってるキラキラ王子こと、てっちゃんから吹き込まれたものだ。
なぜ、俺がこんな所にいるのか。
それは俺にもわからない。
あのホームルームの後、中山から一枚のプリントを手渡された。
見ると、今日307号室で風紀委員会の会議があるから参加するように、といったことが書かれてた。俺はすかさず抗議した。
「俺、やりたくないんですけど」
「風紀委員会だけは、上からの指名制なんだ。申し訳ないけど」
そんなヘラヘラした顔して、何が申し訳ないだ。俺は中山を睨んだが、効果はいまひとつらしい。
つーか上からの指名って何だよ。生徒に拒否権は無いのか。
中山はもう一度、申し訳ないねと言って、そのまま教室を出て行ってしまった。俺は受け入れる他なかった。
たぶん辞令を出されたサラリーマンはこんな気分なんだろうなと、俺は全国のサラリーマンの皆さんに同情した。
俺がはぁーとため息を吐き席に戻ると、千葉から「ドンマイ」と声をかけられた。
だが俺は見逃さなかった。
去り際に、ヤツはクスっと笑いやがった。千葉は案外いい性格をしてる。
そして俺は風紀委員会の会議の場へと、足を進めたのである。
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