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4月 和樹、風紀委員になる

「おーい、カズ聞いてる?」 「……てっちゃんはこーなること、知ってたわけ?」 「知らなかったよー。俺も呼ばれただけだしね」  などと言いながら、てっちゃんはニヤニヤ笑ってる。いや、ヤツは基本的に笑ってるが、この笑い方は確実に俺をバカにしている。 「てっちゃんは元々風紀だったの?」 「どーだろうね」  するとドアが開き、ふたりの男が入ってきた。面白いほど、身長差がある。  先に入ってきたのは、背が高くてがっしりとした武道をやってそうなタイプだ。彼は資料を手に、後から入ってくる男を待っている。  もうひとりは細身だが、着痩せしそうなタイプだ。その眼光は鋭いが、どこか疲れた雰囲気の男だ。彼が着席すると同時に、デカい男が話し出す。 「ではこれより、今年度第一回目の風紀委員会を始める」  続いて小柄な男――ただし俺よりはデカい――が席を立ち、そのハヤブサのような鋭い目で全体を見回した。 「俺が風紀委員長の小嶋隼人(こじま はやと)だ。一年間よろしく頼む」  ――え。任期って一年なの?  任期が一年だと聞いて、少なからず俺がショックを受けてる間に、自己紹介の時間になっていた。  この場にいるのは一年、二年から三人ずつ。三年は委員長と副委員長を含めた五人で、計十一人だ。どうやら各クラスから一名ずつ選ばれるらしい。

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