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4月 和樹、風紀委員長が怖い
一年生の紹介が終わり、今度はてっちゃんの番だ。
「2Aの奥村哲也です。今年もよろしくお願いしまーす」
ほらみろ、今年「も」って言ったぞこいつ。どーりでこの空気に慣れてるはずだ。普通一回目の会議とかって、みんな緊張するもんだしな。
「次」
委員長サマの鋭い目が俺を射抜く。どうやら俺の番になったらしい。
席を立って周りを見る。全員の視線が集中する。俺、こういうの苦手なんだよな。
「2Bの瀬川和樹です。よろしくです」
当たり障りのない挨拶をして、俺は席についた。
もうひとりの二年は知らないヤツだった。まぁ当たり前だが。
彼はC組の伊丹(いたみ)と名乗った。いかにもスポーツマン然とした、野球部にいそうなタイプだ。次期キャプテンらしい。
三年生が終わり、続いて委員長の横にいる男の番になった。
「3Cの江川辰己(えがわ たつみ)だ。副委員長を務めることになった。一年間、共に頑張ろう」
副委員長さんは――長いな。江川さんは、みんなの目を見て一礼した。何だか礼儀正しい人だ。
最後に委員長の番になる。
「改めて挨拶する。3Cの小嶋だ。この一年、長としてこの委員会を率いる。先に言っておくが、仕事のできない人間は、片っ端から切り捨てるからな。覚悟しておけ。以上だ」
委員長怖ぇ……。
ほらみろ。この場の空気が一気に凍りついたぞ。ただ約一名、隣の王子様はニコニコしてるが。
かくして、平凡を目指してた俺の高校生活は、一抹の不安を胸に宿しスタートした。
【4月 新学期ですね】了
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