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5月 新しい出会い
どういう状況だこれは。
千葉陽平 は、うんざりしていた。
新学期が始まって早一ヶ月。新しいクラスにも馴染み、平和な日々を送るはずだったのに、千葉の周りはなぜか忙しなかった。
すべては、あの同室者のせいである。
「なぁ千葉~。瀬川知らね?」
「俺はあいつの保護者じゃない!」
何だよ~と風紀委員と思しき男は去っていく。
千葉の同室者である瀬川和樹 は、札付きのサボリ魔と化していた。
授業はもちろん風紀の仕事もサボるようになっていて、そのしわ寄せは常に千葉へと押し寄せる。
どこにいても「瀬川知らない?」と声をかけられるようになり、風紀の中では瀬川に用があるなら千葉を探せとも言われているらしい。
この情報は瀬川と同じ風紀委員の奥村哲也 から寄せられたものだ。奥村とは瀬川を通じて話すようになり、今では食事を共にするほどの仲になっていた。
「陽平!」
また声がかけられる。そこに立っていたのは、風紀委員会の副委員長である江川辰己 だった。
「辰己さん……」
千葉は顔には出さないが、またかと内心思った。彼の用事も決まって、あいつのことだからだ。
「和樹知ら――」
「知りませんよ」
「即答かよ」
辰己はデカい図体を小さく丸めて、ため息を吐いた。顔には疲れの色が見える。
「どうかしました?」
「大したことはないんだが……」
辰己はそこで一度言葉を切って、言った。
「隼人がブチ切れそうなんだ」
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