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5月 千葉と風紀委員会
「いつものことじゃないですか。隼人さんなら大丈夫ですよ」
千葉は過去のあれこれを振り返る。
風紀委員長の小嶋隼人 は、いつ見ても仕事に追われる苦労人だ。
元々ストイックな生活を送っていた隼人は、この一ヶ月でますますやつれたようにも感じる。その原因の大半は瀬川だ。
「てか風紀って、そんなに忙しいんですか?」
「まぁ、隼人の要領の悪さもあるが……これでもしっかり仕事してるんだぜ」
辰己はバツの悪そうな顔をして答えた。
「そうですか。俺あいつ等から風紀の話とか聞かないんで、ぜんぜん知りませんでしたよ」
「そりゃ和樹と哲也からじゃなぁ……」
辰己は頭を掻きながら答えた。この男もサボリ魔・瀬川和樹の被害者である。
「で、風紀って今、何してるんですか?」
「……笑うなよ」
そう前置きして、辰己は千葉に耳打ちした。
「――マジすか」
千葉は呆れてものを言えなかった。
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