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5月 和樹、ガラケーさん…
目を凝らしてよく探しても、やっぱりケータイは見つからなかった。
ノムさんが止めてくれてるようなので、個人情報流出の危機は脱したが、やはり手元に無いと落ち着かない。俺のガラケーさんは、どこへ行ってしまったのだろうか。
千葉やてっちゃんに鳴らしてもらうという手もあるが、生憎俺はサイレント派なのだ。
こんな時のために解除しようと思ってたが、どうしても着信音にビビってしまう。結局のところ自業自得――いや。
「あのバ会長のせいだ」
俺は肩を怒らせながら、裏庭への角を曲がる。
そこには無いとわかっていても、このベンチにしか手がかりがないのだ。
地面に膝をついてベンチの下を覗こうとしたとき、背後から声をかけられた。
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