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5月 和樹、副会長にバレる

 久世ちゃんとこてつとの楽しい時間は、あっという間に過ぎた。 「そろそろ行こーかな」 「そだな。なぁ久世ちゃん、これからも俺こてつと遊んでいい?」 「もちろん。じゃなきゃ、この子のこと教えないって。それに――」 「こんな所で何してるんだ、久世」 「!」  突然、後ろから声をかけられる。  いや、もう今日だけで何人に声かけられてるかわかんないけど。正直もう慣れてしまった。  しかし横にいる久世ちゃんは、ビクリと大げさに肩を震わせて驚いた。  振り向いた先にいたのは、とても綺麗な人だった。男の俺が言うのも何だけど。左目の泣きボクロが印象的だ。ただし、その両目には怒りのオーラをまとっている。  委員長とは、また違うタイプの怒らせると怖い人だと思った。 「何をしてるんだと聞いてるじゃないか。答えたらどうだい?」 「……副会長」 「副会長!?」  その正体は何と副会長サマでした。  だけど何となく、成る程なーとも思った。生徒会が組織として機能してるのは、多分この人のおかげだ。あのバ会長じゃ絶対無理だもんな。  険悪な空気を察したのか、こてつが副会長さんの足元に、すりすりと身体を寄せた。副会長さんは慌ててこてつを引き離し、手でしっしと追い払った。 「猫キライですか?」  俺は思ったことを素直に口にした。 「君は?」 「瀬川です」  久しぶりに自分から名乗った気がする。 「瀬川くんか、覚えておくよ。ただ今は、君に構っていられないんだ。すまないね」  そう言うと副会長さんは、視線を俺から久世ちゃんへと移した。 「さてと久世、その猫はいったいどういうことかな?」 「すいません。俺が餌付けしちゃいました」 「これからどうすべきか、君ならわかるだろう?」 「はい」  バレちゃマズいってのは、こういうことだったのか。でもそんなに悪いことなのかな。久世ちゃんが悲しそうな顔で俺を見る。 「ごめんね和樹。こてつとはサヨナラしなきゃダメなんだ」 「何で? こてつは悪くないだろ」 「決まりだからだ」  副会長さんの厳しい声が刺さる。 「だからって……」  俺は悔しかった。副会長さんの言わんとすることはわかる。俺もそこまでバカじゃない。だけど……っ。 「和樹っ!」  そんな中、俺たちの前に救世主が現れた。

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