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5月 風紀委員会vs生徒会②
「最近学校で見かける野良ネコを捕獲するように、上から依頼が入ったんだ」
「その猫がこてつってことですか?」
久世ちゃんは辰兄に抱っこされたままのこてつを見て、問いかける。それに辰兄が答える。
「そういうことだ。飼い猫の可能性もあるから、一旦風紀で預かる。手間をかけてすまなかったな。行くぞ、和樹」
「……りょーかいっス」
事情は何となくわかった。こてつは心配だが一応これでも風紀の人間なので、俺は辰兄に従う。
去ろうとした俺たちに、副会長さんから待ったの声がかかった。
「いくら仕事だと言っても、最初に見つけたのは僕ら生徒会だ。それに久世が手懐けたせいで、その猫は住みついたと言っても過言ではない。その猫の身柄はこちらで預かる」
「それは横暴過ぎやしないか、千晴」
「何とでも言え。だいたいそんな馬鹿馬鹿しい依頼があってたまるか。だから君たちはいつもそうなんだ。あの時だって――」
「千晴!」
辰兄の顔が途端に険しくなった。副会長さんの顔も強張る。久世ちゃんは何のことだかわからないようだ。
もちろん俺も、辰兄たちが何を言ってるのか見当がつかない。
膠着状態の俺たちを打ち破ったのは、怒らせると超怖いあの人の声だった。
「お前ら俺をいつまで待たせる気だ」
我らが委員長、小嶋隼人サマが降臨なさいました。何だか、いつも以上に怒ってる気がする。
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