46 / 118
5月 風紀委員会vs生徒会③
「仕事は終わりだ。とっとと帰るぞ」
「委員長……」
俺は恐る恐る声をかける。
「こてつ、どうなっちゃうんですか?」
委員長が俺を見る。辰兄の腕に収まってるこてつは、自分のことが問題視されてるとは思ってないらしい。ウトウトと眠たそうな顔をしている。
「こてつは何も悪いことしてませんよ。だから――」
「わかったから、黙ってろ和樹」
委員長の眉間のシワが無くなった。心なしか口調も柔らかくなった気がする。
「お前が思ってるようなことはしねぇよ。だから安心しろ。わかったか?」
ぶっきらぼうに告げるその姿が、何だか頼もしく思えた。
「はい!」
そうかと委員長は言って、そのまま視線を副会長さんへと向ける。
「これ以上俺たちに関わるな。俺たちに口出ししたいなら、お前らの会長引っぱり出して来い。話はそれからだ」
委員長かっけー!
俺のニガテな副会長さんは、悔しそうに綺麗な顔を歪めていた。ざまぁ。
「行くぞ」
委員長は言うだけ言って、さっさと行ってしまった。俺もその後を追いかける。
辰兄は久世ちゃんに声をかけていた。どうやら彼にも話を聞くらしい。
辰兄に続き久世ちゃんも裏庭を去っていって、後には副会長さんだけが取り残された。
ともだちにシェアしよう!