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5月 和樹と風雅、留守番組になる
「なー和樹、こてつどうなっちゃうのかな」
「……わかんね」
俺と久世ちゃんは307号室で、委員長と辰兄を待っていた。
先生たちと話し合って、こてつをどうするのか決めるらしい。俺たちは留守番組だ。
「ごめんな久世ちゃん。こんなことになっちゃって」
「いやー、俺も風紀の仕事把握してなかったから、お互い様だよ」
悪かったな、と久世ちゃんは目を伏せた。
久世ちゃんは見た目はチャラいけど、人間性は誰よりもしっかりしてる。けっこー落ちこんでしまったようだ。
俺は話題を変えることにした。
「そう言えば、副会長さん怒ってたけど大丈夫なのか?」
「あの人厳しいからね。でも、ああ見えて良い人だから、嫌わないでほしいな」
「……」
俺が返事をできずに俯いていると、ドアが開いて委員長たちが入ってきた。
いよいよこてつの処遇が決まる。
「結論から言う」
委員長は俺と久世ちゃんを見て、言葉を続けた。
「あの猫は風紀で管理することになった」
「……え?」
「どういうことですか?」
久世ちゃんが委員長に問う。その先は委員長の代わりに、辰兄が続けた。
「あの猫――こてつはやっぱり野良ネコだったんだが、校長のご厚意で今のまま学校で世話することになったんだ」
「校長って何者スか?」
「俺もよく知らないが、どうやら大の猫好きらしい」
辰兄は久世ちゃんに目を向け、さらに続ける。
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