49 / 118

5月 千葉、哲也に絡まれる

 千葉は自販機に小銭を入れ、何を飲もうか迷っていた。  しばし逡巡していると後ろから手が伸びてきて、勝手にボタンが押される。驚いて振り返ると哲也が立っていた。  ヤツは身をかがめジュースを取り出し、何のためらいもなくそれを飲んだ。 「……何やってんだ、奥村」 「見ればわかるでしょ。ジュース飲んでんの」  哲也は平然と言ってのけた。コイツと話すようになってから一ヶ月近く経つが、いまだによくわからない。 「ふざけんな、金返せよ」 「情報料だよ千葉っち」  ちなみに俺は、このふざけた呼び名を許可した覚えはない。 「情報料だと……?」 「そう。安いもんだよね」  哲也は時々情報料だと言って、千葉にたかるのだ。 「そういうのいらねーから、どっか行けよ」  千葉はもう一度小銭を入れ、缶コーヒーを選ぶ。さっさと買ってゆっくりしたかったのだ。しかし――。 「カズが生徒会室に連れてかれたらしいよ」 「!」  プルタブを開けようとした千葉の動きが、ピタッと止まる。  そんな千葉を見て、哲也はその笑みを深めた。 「……詳しく聞かせろ」

ともだちにシェアしよう!