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5月 和樹vs副会長
早くこの異空間から抜け出したい俺は、聞かれたことに素直に答えようと思う。
「どーぞ。早く進めちゃってください」
そう言うと、机の下で久世ちゃんが俺の足を踏んできた。さっきの肘打ちの仕返しか。
「今更だが自己紹介させてくれ。僕は3Aの浅井千晴だ。生徒会副会長を務めている。君は?」
「……2Bの瀬川和樹です。一応、風紀委員会ヒラです」
「ヒラ?」
「委員長と副以外の人たちですよ。で、浅井センパイは俺らに何の用ですか」
浅井センパイは俺を見て、続けた。
「裏庭での猫のことだ」
「こてつのことなら、もう解決しましたよ」
「何?」
まぁ、さっき決まったばかりのことだから、知らないのも無理はないけど。
詳しい内容は、俺の代わりに久世ちゃんが説明してくれた。
それを聞くと浅井センパイは、一気に顔色を悪くした。
「そんなことを、校長先生が納得したと思っているのか!」
「だって校長ですよ。俺よりもセンパイのが知ってるんじゃないですかー?」
「……っ」
どうやら俺の勝ちのようだ。
てか、浅井センパイがこんな顔するなんて、校長はどんなヤツなんだろう。
逆に気になってきた。
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