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6月 寮対抗バトル

「はよー千葉。メシどーする?」 「起きてたのか。珍しいな」  そう、俺こと瀬川和樹(せがわ かずき)は、今日珍しく早起きをしたのである。  いつもは同室者であるニット帽男・千葉陽平(ちば ようへい)に叩き起こされるのだが、今日の俺は一味違った。  俺と千葉の起床時間は大体朝七時。しかし、今日俺が起きたのは朝の六時。  なぜかパッチリと目が覚めてしまった俺は、とりあえず授業で使う教科書と提出物のチェックをする。  来月の半ばに待ち受ける前期末テストのせいで、最近の授業は気が抜けない。  何を隠そう、俺の成績は教科によってバラつきがヒドくて、点数次第では追試の可能性大なのだ。  五月の中間テストで散々だった英語は、追試有力候補ナンバーワンなのである。  ちなみに千葉は、地味に成績が良い。羨ましい限りだ。  そんなこんなで荷物チェックをしたり、何となく部屋を片づけたりしてたら、六時半頃に千葉が起きた。  てか千葉さんたら、こんな早くに起きてたんですね。 「食堂行くか? 今なら空いてるぞ」 「マジで? 早く行こー!」  これはアレだな。早起きは何とかのトクとかいうヤツだ。  俺達はすぐさま食堂へ向かおうと、扉に手をかけた。 「ん……?」 「どした?」  千葉が何かに気づいて足元を見る。俺もつられて下を見ると――。 「何じゃこれ?」  そこにあったのは一枚の封筒。  宛名は『B寮の皆様へ』となっていて、差出人の名前は書いていなかった。 「見せろ」  千葉が俺から封筒を取り、封を切って中の手紙を見る。俺も一緒になって覗きこむ。 「こ……これは?」  そこに書かれていたのは……。  ――このとき、俺と千葉は  この手紙がこれから起こる  あの悪夢のような出来事への  片道切符になるとは  思ってもみなかったのである。 「運命の日は、すぐ近くまで迫っていたのだ……」 「アニメの観すぎか?」 「へ……?」  千葉は何事もなかったかのように扉を開ける。 「副音声漏れてるぞ」 「!」  俺、そんなこと言ってた……? え。めっちゃ恥ずかしい! 「うるせぇ! 俺は素直なんだよ!」  真っ赤になった顔を隠して、俺は千葉を追い越した。

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