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6月 C寮の寮長

 徳島深月(とくしま みづき)は会議室にとどまって、メールやNINEの返事に追われていた。そのほとんどが、学校内外からの仲間達からのものだった。  相談事も多く寄せられるので、深月は一通一通真剣に文字を打つ。  新入生歓迎会は一般公開されるので、多くの客を呼ぶ必要がある。自らの寮の売上を伸ばすためなら、彼らは喜んで駆けつけてくれるだろう。  C寮は仲間意識が強く、学校行事にも積極的だ。実行委員のメンツもすぐ集まるだろうし、メニュー選びも楽に済みそうだ。  深月は寮員全員に、会議での内容をまとめたNINEを送る。それぞれが別の運動部に属している彼らは、時間が合いにくい。こうして文面で送るのが一番楽だ。  一仕事終えて安心したら小腹が空いてきた。深月は寮へ戻ろうとした足を、食堂へ向ける。もちろん目指すは裏口だ。  大将なら何か奢ってくれそうだし。なんてことを考えていたら、突然目の前を黒い物体が横切った。 「何あれ……?」  気になった深月は、それを追いかけることにした。

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