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6月 朝一の食堂

 朝一の食堂は、やはり空いていた。  俺と千葉は向かい合って食事をしながら、例の手紙を眺めている。ちなみにメニューは朝食セット(和食)だ。ご飯と汁物と漬け物が基本で、それに好きな小鉢を三つまで選べるという、和食党の俺にとっては嬉しいメニューなのである。千葉も同じものを注文した。  俺は手紙に書かれた内容を、千葉と話し合う。 「新入生歓迎会の実行委員、及び食品バザーのメニューを募集します……って、こんなイベントやってた?」 「どーせ、去年もサボってたんじゃねーの? お前のことだし」  千葉は味噌汁をすすりながら、さも興味なさげに答えた。 「ふーん。てかノムさんも、わざわざこんな手紙作んなくていいと思うけどね」  B寮メンバー全員に配られたのは、野村寮長自作のアンケートだった。千葉の話しぶりからすると、新入生歓迎会は毎年の恒例行事だそうだ。ちょっと記憶にないんだけど。 「この食品バザーって何やんの?」 「よくあるだろ、焼きそばとかカレーとかそんなんだ」 「じゃーそれ書いとくね。これで俺らのノルマ達成! あとはノムさんに提出して終了!」 「テキトーすぎだろ」  とか言いつつ、千葉はどこか嬉しそうだ。だが俺の後ろを見た途端、その目が急に鋭くなる。 「あれー? カズがいる。珍しいね」  箸を持ったまま振り返ると、キラキラ王子・奥村哲也と金髪深緑目のチャラ男くん・久世風雅が立っていた。 「あ、ふたりともおはよー。てか俺がいるのって、そんな珍しい?」 「だってさー、カズって大概寝坊するでしょ? だから朝に会えるなんて新鮮だなーって思っただけ。ねぇ風ちゃん」 「ふうちゃん……?」  俺はてっちゃんの後ろで、顔を赤くしてる久世ちゃんに目を向ける。 「な、何言ってんだよ、てつ!」  久世ちゃんはてっちゃんを小突いている。完全な照れ隠しだ。  ふたりが一緒にいる所はなかなか見れないけど――風紀と生徒会だし――やっぱ仲良いなーって思う。  このリア充が。 「瀬川」  千葉が身を乗り出して、俺を呼んだ。 「何?」 「あの金パ誰だ?」  あれ、千葉って久世ちゃんと面識なかったっけ。

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