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6月 和樹、仲直りの印を貰う
「なぁこてつ~。俺、千葉に嫌われちゃったのかなー」
「にゃ~?」
「……アイツ、何怒ってんだろ」
結局、千葉には追いつけなかった。
アイツの足が長いとか、そんなの理由にはならないが。
俺は今、裏庭のベンチに座って、こてつ(猫)にグチってる。
このもふもふボディに癒されにきたのだ。
「はーあ」
「……ん」
ガサッと音がしたと思ったら、目の前に缶ジュースが差し出された。俺は顔を上げる。
「え……千葉……?」
そこにはご機嫌斜めの千葉さんが、ジュース片手に突っ立っていた。
「やるよ」
俺にジュースを押しつけて、自分はベンチにドカッと座った。
てか、これどんな状況?
「怒ってねーの?」
「……早く飲めよ」
「俺、何か悪いことした?」
「しつけーな! 早く飲め!」
「お……おう」
千葉に促され、俺はプルタブを開ける。プシュっと気持ちのいい音がした。
中身は俺の好きなフレッシュオレンジソーダつぶつぶ果肉入りである。
ちなみにどさくさに紛れて、こてつはどこかへ行ってしまった。
「ありがとな、千葉」
これは仲直りの印ってことでいいよな。
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