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6月 忙しない生徒会室
生徒会室では、紙をめくる音とシャープペンシルを走らせる音が、心地良いリズムを奏でていた。
副会長の浅井千晴 は、何冊もの分厚いファイルを読み漁り、気になる箇所に付箋を貼っていく。
一方向かいに座る書記の宮崎翼 は、レポート用紙を、ひたすら細かい文字で埋めていく。
ふたりの間に会話はなく、互いに黙々と作業を進める。単調な仕事だが、このふたりには性に合っていた。
学校内は再来週に行われる、新入生歓迎会に向けての準備に追われていた。
生徒会は実行委員会のトップに立つため、仕事量も格段に多い。個々にかかる負担も大きいが、それをカバーできるだけの能力を、皆が持ち合わせている。
今ふたりが手かけているのは、明後日の会議に使われる資料だ。
その後も淡々と作業を進めるふたりには、目の前の書類しか見えていなかった。
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