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6月 にゃんこ同盟への勧誘
「千葉さん! ジュース、ゴチになります!」
「何だそれ?」
「ゴチだよ、ゴチ」
千葉はあんまりテレビを観ないのか、俺のゴチポーズを見ても反応してくれない。何かつまらない。
「千葉ってテレビ観ねーし、ゲームもしねーし、普段何やってんの?」
「別に何でもいいだろ」
「ふーん。あ、じゃあさ、千葉は猫好き?」
「猫?」
俺は愛しのにゃんこ様を話題に上げた。
俺は生まれてから一度も、猫嫌いな人間に会ったことがない。
あ、違う。浅井センパイは苦手そうだった。
まぁ例外は置いといて、ほとんどの人はにゃんこ好きのはず!
ちなみに俺と久世ちゃんは『にゃんこ同盟』なるものを組んでいたりするくらいだ。
「ね、千葉は猫好き?」
「実家で飼ってる」
「よっしゃ!」
突然叫んだ俺に千葉は若干引いてたが、そんなことどーでもいい。
俺は千葉の手を取って、ベンチから立ち上がらせた。
「これで千葉も、我らがにゃんこ同盟の一員だ!」
「はぁ?」
「これから、こてつ様に会わせたる! 来いよ!」
「意味わかんねーよ! お前壊れたのか?」
俺は千葉を引っ張って、こてつと出会った、あの植えこみに連れて行った。
耳を澄ますと、ガサガサと音がする。
「おい、聞いてんのか?」
「まーまー見てなって」
「あ、あぁ」
しゃがみこんで植えこみを覗く俺たちに、またもや声がかけられた。
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