73 / 118

6月 これってデジャブ?

「おい、深月さん放っておいていいのか?」 「大丈夫でしょ、多分」  俺らは寮に向かって歩いていた。  俺は黒猫に会いたかったが、深月センパイのセンスにびっくりして、何だか引いてしまったのだ。 「そういや千葉って、深月センパイと、いつ知り合ったんだ?」 「飯行くか、瀬川」  思いきり話をそらされた。また千葉の地雷を踏んでしまいそうだったので、俺は何も触れなかった。 「そーだな、何食う?」  俺たちが食堂に方向転換したとき、向かいからノムさんがやってきた。 「よう、和樹に陽平!」 「何スかぁ、ノムさん」 「実はな、今日は陽平に用があるんだ」 「俺ですか?」  ノムさんは千葉の正面に立って告げた。 「単刀直入に言う。お前に新歓の実行委員を任せたい」 「……は?」  俺は二ヶ月前の俺自身を見てるような気分になった。

ともだちにシェアしよう!