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6月 男の嫉妬?

「ち……千葉さーん。顔が怖いっスよ」 「何が?」 「……何でもないっス」  自然と言葉が尻すぼみになるのも無理はない。だって千葉超怖いんだもん。怒りの対象は俺じゃないのに、なぜかこっちが怒られてるような気分になる。 「そんなに怒るなよ千葉。瀬川が怖がってるだろう」  先生がさり気なくフォローを入れるが、元はと言えばこのセクハラ校医が俺にあんなことやこんなことをしたのが原因だ。 「男の嫉妬は醜いだけだぞ」 「へ?」 「……ちっ」  先生にそう言われた千葉は、掴んでいた腕を離した。  てか嫉妬って何だよ。つーか何で千葉はこんな怒ってんの? 意味わかんねー。 「おい! 俺にもわかるように説明し――」 「瀬川?」  突然目の前が暗くなったと思ったら急に全身がゾクゾクして、俺はベッドに倒れこんでしまった。そーいえば俺、風邪だったわ。 「おい、大丈夫か?」  急に倒れた俺を心配したのか、千葉が俺の身体を揺さぶってくる。そのせいで今まで忘れてた気持ち悪さが一気にぶり返した。 「……吐く」 「え……」 「手ぇ離せ」 「あ、悪い」  千葉はバツの悪そうな顔をして、さっきまで座ってた丸椅子に腰を降ろした。  揺さぶり地獄は過ぎ去ったが、頭の中がグルグルしてて、この気持ち悪さは当分治まりそうにもない。  すると顔色が悪くなった俺を見て、先生が口を挟んだ。 「瀬川、ツラいなら早く寮へ帰れ」 「……鬼畜だな、アンタ」 「うるさい。私はもう上がりなんだよ」 「サイテー」 「おい、千葉」 「無視かよ」  もうヤダこの先生。話するだけで疲れる。  先生は千葉に話を振った。

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