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第3話

「なお、報酬は奪い返した金銀財宝のうちの一割、ざっと時価数千万相当である」  四人は一斉に算盤(そろばん)をはじいた。気前のええ話や、破格の条件ちゃう? 「ところで桃太郎よ。鬼に金棒の金棒とは、真珠入りのイチモツのことである」  イチモツ、と桃太郎はおうむ返しに呟いた。  つまり鬼退治には、巨根がよりどりみどりという豪華特典がつくのかな?   だったら、おなかがはち切れるまで食べ放題、めくるめき放題の鬼ヶ島ってイチモツパラダイス?   鬼といえば(つの)、角で上の口を、イチモツで下の口を同時に犯してもらうなんて凌辱っぽいシチュエーションははっきり言って大好物で、生唾ごっくん。 「了解です。桃太郎推しのチビっ子たちのために、悪い鬼どもを征伐しにいってまいりまぁす」 「な、こと言って、ドサクサにまぎれて絶倫な鬼と乳繰り合う気っすね!」 「心外だなぁ。僕は純粋にボランティア精神に(のっと)って引き受けるんだよ?」    と、笑顔ではぐらかした直後、支給品と称してお伽噺の登場人物にふさわしい衣装が投げ落とされた。  桃太郎は陣羽織および、膝から下を紐で巻きつけるデザインの袴をまとい、さらに桃印の鉢巻きをきりりと締めて、と凛々しい若武者ぶり。  トリオは、おそろいの姿だ。ともあれページ数の関係上、細部は端折ってさくさくいこう。  ここで沖合に視線を転じてみると、ハート形をした小島が浮かんでいる。  エロエロしい雰囲気……コホン、おどろおどろしい雰囲気が漂うあれが悪の巣窟・鬼ヶ島だ。腹ぺこライオンがうじゃうじゃいるサバンナ以上に危険な場所だが、欲に目がくらんだ四人は勇躍、島に渡った。  迎え撃つのは殺気立ったコワモテ軍団で、 「小童(こわっぱ)めが、わしらのになりにくるとは殊勝な心がけよのう」  げらげら、ぐはぐは、イヒヒと哄笑する。

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