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春 一太 ②

昼休み、一太は机を挟んで遠見とお弁当を食べるのが日課だ。 遠見が購買で買ったパンを食べながら梓に聞いてきた。 「梓もあの写真の子、気になる?」 一太は視線を弁当に向けたまま答えた。 「あの写真て?」 「東のさ、そのやたら隣にいる子。あ、梓はSNSやってないからあんまり写真見てないか?」 一太は口の中のものをゴクリと飲み込み答えた。 「SNSはやってないけど、昨日大量の写真付きで東から連絡きた。その中にさっきの写真もあった。」 「えーそうなの?なんだよ、東のやつ、俺には全然連絡くれないのになぁ」 遠見は少し膨れっ面をして見せたが、すぐに笑顔になった。 「なんだって?東京で楽しくやってるって?」 「うん、なんかGWはお台場行ったり渋谷で遊んだり映画行ったりしたとか、いちいち写真付きで東京満喫してる感じの連絡がきたよ」 「へーお台場とか渋谷とかすごいなー。テレビの世界じゃん」 「見て、プリクラ撮ったって。」 一太は東が渋谷で友人達と撮ったプリクラの画像を見せた。 「あっはは!何これ!別人じゃん、目キラキラしてんじゃん!」 遠見はケラケラ笑った。一太も苦笑しながら言った。 「な、プリクラって今スゴいよな。俺小学生の時駅にあった古いので一回撮ったけどこんなんじゃなかったよ。」 「へー、今もう駅にないよね。」 「うん、さすがに古すぎて撤去されたんじゃない?」 「あっ!じゃぁさ今週末撮りに行く?中心街の方まで出てさ!」  遠見が爽やかな笑顔でいった。 「へ?わざわざプリクラだけ撮りに?」  一太は驚いて答えた。 「まぁプリクラはついでだけど。俺欲しいものあるから買い物行こうと思ってたんだよ!東から楽しそうな写真送られてくるならこっちもさ、楽しくやってるってとこ見せてやろうよ!」 一太は少し考えて答えた。 「まぁ、確かに。良いな、俺も久々に買い物したいかも。」 「よし、じゃぁ土曜日、決まりな」  遠見はニコリとして言った。

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