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春 東 ②
昼休み、今日もいつも通り五人で集まり屋上でご飯を食べる。
東京の高校の購買は前の学校のものより豪華に見えた。
「東今日何?」
針崎が聞いてくる。
「スタミナ丼~」
東は手に持った丼を見せた。
「おいしそー!一口ちょうだい!」
鈴花が聞いてくる。
「うん、いいよ」
東は使っていた箸でそのまま鈴花に渡した。
「お前ら本当に仲良いよな~」
澤がからかうように言ってくる。
「えー!普通だよね東!!?」
鈴花が少し顔を赤めて言う。
東は微笑みながら頷いた。
きっと、普通ではない。
東は思っていた。
鈴花は多分、自分を好意的に思ってくれている。
その事にどこまで知らないふりをして、どこから気づいてるふりをすればいいのか。告白されたら付き合うのか。
東はそれも良いなと思った。付き合うということをしてみたい。
一人の子と真剣に向き合えば忘れられるはずだ。
そんなことを思ったとき東のスマホが揺れた。
東は画面を見てドキリとした。
『梓 一太』からの連絡。
そこには文章と写真があった。
一太と遠見が仲良さそうに二人で写っているプリクラ。
遠見は一太の肩に手を回している。
二人とも笑顔だ。
そのあとにつけられた文章には
『土曜日遠見と買い物行った。渋谷ほどじゃないけどこっちだってそれなりに物揃ってるから!プリクラもあったし!東京と変わらん!』
と書いてある。
東はキリリと胸がなるような気がした。
そしてあの日の事を思い出した。
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