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春 遠見 ②

一太の第一印象は『硬い奴』だった。 高校一年の春、最初に仲良くなった東に紹介されたのが一太だった。 東がヘラヘラチャラチャラしてる奴だっただけに一太の性格が正反対で驚いた。 なんで仲が良いのだろう? そう不思議に思いながらも、人見知りせず誰とでも仲良くなる東と一緒にいるのは楽そうだと思い、東と一太と行動することが多くなった。 一太は天文部に入りたがっていた。 しかし天文部は部員がその年の春に全員卒業していて廃部予定になっていた。 そんな状態の中、遠見は東に一緒に天文部に入らないかと声をかけられたのだ。   遠見は特に部活に入る予定はなかったのだが、受験のことを考えて何かしら部活に入っておくと有利かもしれないと、その時ふと思った。 こうして一太と東と遠見の三人の天文部が出来上がった。 それからはますます三人で行動することが増えていき、周りからも三人組として認識されるようになった。 遠見は基本的に面倒なことが嫌いだった。 自分が我慢できる範囲のことなら我慢して、波風が立たないならそれに越したことはない。 人の顔色を窺うのは得意だし、人が何を言われれば喜ぶかもだいたいわかっているつもりだ。   遠見は要領よく生きていきたいと思っていた。 だから一太の融通の聞かない所が最初は面倒くさいと思った。 東と一緒にいるとメリットがあるが、一太と一緒にいるのはデメリットが多いような気がしていた。 しかし東が一太と離れることがなかったので遠見も行動を共にする他なかった。 東はよく一太を見ている。 一太が他の人間の反感を買いそうなタイミングで東が助け船を出すこともある。 逆に東が失敗しそうな時や何かミスをした時は、一太が怒りつつも最後には必ず手を貸していた。 遠見はそんな二人のやり取りを最初は程よい距離感で見ていた。 自分が下手に混ざっても上手くはいかないのだろうと思っていたからだ。 それが変わったのは高校に入って初めての中間テストも終わり、体育祭までもう少しという時期だった。

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